近年、ビルメンテナンス業務において効率化やコスト削減のために幅広い技術が活用されています。
その中でも注目されているのがIoT技術を活用したセンサーです。実際にビル管理において活用しているケースが増えてきており、これから導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか。
しかし、IoTセンサーといっても幅広い種類がありますし、それぞれ効果も異なります。本記事では、IoTセンサーの導入を検討されている企業向けに、種類や導入効果、活用事例、注意点など詳しく紹介します。
ビル管理に役立つIoTデバイスの種類と導入効果

近年、IoT技術の発展により、ビルメンテナンス業務・管理の効率化が進んでいます。その中でもIoTセンサーのデバイスを導入することで、快適な環境の維持や、センサーによってトラブルを未然に防げるなど、ビル管理において幅広いメリットをもたらすものも多くなっています。
下記の見出しでは、実際にビル管理で活用されているセンサーの種類について説明し、導入効果も併せて紹介していますので、導入を検討している企業は参考にしてください。
温湿度センサー
温湿度センサーとは、その名の通り温度と湿度を測る装置のことです。ビルの中では、エアコンや加湿器などと連携し、快適な環境を維持するために使われることが多くなっています。
温湿度センサーを導入すると、例えば夏場の気温が高いときには、温湿度センサーがそれを感知してエアコンの温度を自動で調整してくれます。また、空気が乾燥すると、湿度が低くなったことをセンサーが感知し、加湿器を動かして適切な湿度に調節してくれます。
このように、温湿度センサーを導入することで、ビルの中で仕事をする人たちが快適に過ごせるようになるだけでなく、自動的に行ってくれることでビル管理もこれまで以上に楽になります。また、適切な温度と湿度をその都度調整してくれるので、エネルギーの無駄を減らすことができ、コスト削減にもつながる効果があります。
漏水センサー
ビル管理で活用される漏水センサーとは、水漏れを検知するためのセンサーのことです。ビルの中では給排水設備や空調設備の近く、地下や天井裏など、水漏れが発生しやすい場所が多くあり、漏水センサーはこういった場所で設置されることが多くなっています。
漏水センサーを導入することで、万が一水道管が破損したり、空調機の結露で水が漏れたりすると、漏水センサーが瞬時に感知し、管理者にアラートで知らせてくれます。すぐに異常を確認できるため、漏れた水が大きく広がる前に対処でき、大きな被害を防ぐことができます。
漏水センサーは、温湿度センサーなどに比べるとそれほど重要ではないと思われている方も多いかと思いますが、実際にはできる限り導入すべきセンサーとなっています。
その理由としては、水漏れによってビルの耐久性が下がらないようにするためや、修理費を減らすためです。水漏れの放置は建物自体の劣化につながるだけではなく、修理費も大きくなりがちなため、ビルの安全を守るためにもなくてはならないIoTセンサーと言えるでしょう。
振動センサー
ビル管理で設置される振動センサーとは、機械や建物が揺れたときに、振動を感知するためのセンサーのことです。主に設備の異常や建物自体の安全性を監視する目的に使用されています。
使用シーンとしては幅広い場所があげられますが、例えばエレベーターおいて、動きがスムーズではなく、急に揺れたり振動が大きくなったりした場合に振動センサーが感知してアラートで知らせてくれます。この異常はモーターやワイヤー、ガイドレールに何らかの異常があることを知らせてくれており、早めに対処することで安全性が守られるだけでなく、修理費用も安く抑えることが可能です。
完全に故障してからでは遅いため、特にエレベーターやエスカレーターがあるビル、空調設備や給排水ポンプ、ボイラーなどが設置されているところでは導入されています。
CO₂センサー
CO₂センサーとは、ビルの中の二酸化炭素の量を測る装置のことです。人が多い場所や、換気が十分にされていない場所では、CO₂の濃度が高くなりやすいため、CO₂センサーの活用が不可欠となります。
CO₂が増えすぎることで、眠気や集中力の低下、頭痛などの症状が出ることがあるため、特にオフィスビルや学校といった施設では、CO₂センサーの活用が広がっています。
導入することで、換気が必要なタイミングをアラートで知らせてくれますし、自動で換気システムを動かすことも可能になります。CO₂センサーがあることで人が手動で管理する手間をなくせるため、負担の軽減にもつながるなど幅広いメリットがあります。
また、CO₂センサーがあれば、換気が必要なときだけ空調を動かすことになるため、闇雲に稼働させる必要はありません。CO₂センサーが必要なときを知らせてくれるため、電気代の節約にもつながる効果があります。
これらの効果から、特にビルなど大きな施設では、CO₂センサーの導入が進められています。
IoTセンサーの活用事例

IoTセンサーは、それぞれの種類で活用シーンが異なります。下記では具体的な活用事例をあげながら紹介しているので、導入を検討されている企業は参考にしてください。
温湿度センサーの活用事例
温湿度センサーは、オフィスビルやショッピングモール、病院、学校など、多くの施設で使われており、快適に過ごしやすい環境を保つために欠かせない装置です。
下記では建物ごとの活用例とメリットについてまとめていますので、導入を悩まれている方は、参考にしてください。
【オフィスビルでの活用例】
- オフィスビルでの冷暖房の効きすぎを防止し、温湿度センサーが適切な温度を維持するよう調整。
- 乾燥する季節では湿度が下がるため、加湿器を作動させて快適な湿度を保つ。
【メリット】
- 室内環境が快適になり、仕事がしやすくなるので集中力アップ。
- 無駄な冷暖房を減らせるので、電気代の節約につながる。
【病院での活用例】
- 病室の温湿度をセンサーで監視し、患者さんが快適に過ごせる環境を維持。
- 手術室では、温度や湿度が適切でないと医療機器に影響が出るため、温湿度センサーで監視。
【メリット】
- 病気の感染リスクを減らせる。
- 患者さんが快適に過ごせる。
漏水センサーの活用事例
漏水センサーは、ビルには必須のセンサーとなっています。下記では具体的な活用事例についてまとめているので、参考にしてください。
【オフィスビルでの活用例】
- エアコンの配管部分に設置することで、水漏れの有無を瞬時に把握できる。
- 給水タンクやトイレの近くに設置し、水漏れの発生をアラームで受けられるようにする。
【メリット】
- 水漏れを瞬時に把握できるようになる。
- 早めに気づけることで修理費用を抑えられる。
【ホテルやマンションでの活用例】
- 各フロアの配管周辺に設置し、万が一水漏れが発生して階下の部屋に水が染み込んでしまうことを防ぐ。
- 機械室やボイラー室の近くにセンサーを配置し、大量の水漏れを防ぐ。
【メリット】
- 建物の損傷を防ぎ、快適な住環境を維持できる。
- 住民や宿泊客の安心につながる。
振動センサーの活用事例
振動センサーは、建物や機械の揺れを感知し、異常を早く発見して大きなトラブルを防ぐことが目的です。下記では具体的な活用事例について記載しているので、導入を検討している企業は参考にしてください。
【エレベーターでの活用例】
- エレベーターが普段より揺れているとき、振動センサーが異常を検知し、管理者に通知。
- 大きなトラブルが起こる前に修理を行い、エレベーターの安全を確保。
【メリット】
- 事故を未然に防ぐことができる。
- エレベーターの故障による長時間の停止を防げる。
【空調設備での活用例】
- 空調機に振動センサーを設置し、異常な振動を検知する。
- 必要なときに点検や修理を行い、空調機の寿命を延ばす。
【メリット】
- 快適な室温を維持できる。
- 急な故障を防ぎ、修理コストを削減できる。
CO₂センサーの活用事例
CO₂センサーを導入することで、空気のこもりを抑え、室内を常に快適な環境にしてくれます。実際に幅広いビルや施設で使用されていますので、具体的な活用事例について紹介します。
【学校や塾での活用例】
- 授業中にCO₂濃度が高くなると、アラートで知らせてくれるため、教員が窓を開けて換気する。
- 一定レベル以上になると、空調が自動で新しい空気を取り込むモードに切り替えることも可能。
【メリット】
- 生徒の集中力がアップし、勉強の質が向上する。
- 換気のしすぎを防ぎ、冬場の寒さやエネルギーの無駄を減らせる。
【商業施設や映画館での活用例】
- ショッピングモールの休憩スペースにCO₂センサーを設置し、人が増えて空気がこもると自動で換気するよう設定する。
- 映画館では、上映中でもCO₂濃度を監視し、換気システムを適切に作動させる。
【メリット】
- 空気がこもるのを防ぎ、居心地の良い環境を維持できる。
- 人が多い場所でも、新鮮な空気を確保し続けられる。
IoTセンサーを導入する際の注意点

ここまで説明したように、IoTセンサーには幅広い効果があります。しかし、導入にあたっては注意しておきたいポイントが2つありますので、導入を検討している企業は参考にしてください。
設置場所の選定が重要
IoTセンサーは、適切な場所に設置しないと正確なデータが取得できません。
例えば、温湿度センサーを直射日光が当たる場所に設置すると、実際の室温より高い値を示してしまうことがあります。
また、CO₂センサーを換気扇の近くに設置すると、正確な二酸化炭素濃度を測定できません。そのため、導入の際には環境や使用目的に応じた最適な設置場所を選ぶことが重要です。
データの管理とセキュリティ対策が必要
IoTセンサーは、インターネットを通じてデータを送信・管理するため、セキュリティ対策をしないと、不正アクセスやデータ漏えいのリスクが発生する可能性があります。
また、センサーが取得したデータが増えすぎると、適切に処理できず、システムが重くなってしまうこともあります。そのため、データの管理方法やセキュリティ対策を事前に考えることが重要です。
まとめ
今回は、ビルメンテナンス業務で使えるIoTセンサーの種類や、導入効果、活用事例について詳しく紹介しました。それぞれのセンサーによって目的が異なるので、導入を検討されている方は、目的に応じたIoTセンサーを導入しましょう。
ビルドスマートは、補助金を活用してIoTセンサーの導入を支援しています。通常よりも費用負担を抑えて導入することができるので、できる限りコストを抑えたいと考えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。