【非常時対策】大規模施設のLED照明

電力不足や自然災害が頻発する現代社会において、非常時への備えは欠かすことができない課題となっています。特に大規模施設では、停電時の安全確保は従業員や利用者の命を守るために重要なポイントと言えます。

そして、このような課題を解決するために注目されているのが非常用LED照明です。通常時では目立つ存在にはなりませんが、万が一の停電時には、避難経路を照らし、安全な行動を促す唯一の照明となるため、多くの施設で導入が進められています。

本記事では、これから非常用LED照明の導入を検討されている大規模施設向けに、非常用LED照明がなぜ必要なのか、その基本的な仕組みや、一般的なLED照明との違い、選定時に押さえるべきポイントについて詳しく解説します。

非常用LED照明は必要?

非常用 停電 備え

近年、電力不足や自然災害の頻発により、多くの企業や施設で停電への備えが重要な課題となっています。特に地震や台風といった災害が起きた際、電力の供給が止まると、建物の中が真っ暗になり、危険な状況に陥る可能性があります。

このようなリスクを回避するために注目されているのが、非常用LED照明です。非常用LED照明は、一般的に通常時に使われることはありませんが、停電が発生した瞬間に自動で点灯し、避難経路を明るく照らしてくれる照明になります。

特に大規模施設においては、非常用LED照明の有無が、利用者や従業員の安全を守れるかどうかに直結するくらい大切になります。

また、災害時にも事業を継続するための「BCP」の一環として、非常用照明の整備は欠かせない対策の一つです。電源が確保できない状況でも最低限の安全と機能を保つことは、企業の信頼にも関わってくるため、導入を進める施設が増えています。

従来では万が一の備えと言われていた非常用LED照明ですが、今では当たり前の備えとして見直されているほど重要な照明となっているのです。

非常用LED照明の基本の仕組みと役割

非常用 LED照明 仕組み 役割

非常用LED照明とは、簡単に説明すると停電や災害時に自動で点灯し、避難時に明るさを確保できるようにしてくれる照明のことです。

万が一の災害時に、真っ暗な空間になってしまっては避難をすることができません。しかし、非常用LED照明があれば、施設の利用者や従業員の避難経路に明かりを届けることができるため、安全に避難することが可能になります。

下記では、非常用LED照明についてよくわからない方向けに、基本の仕組みと役割について詳しく解説します。導入を検討されている施設は、ぜひ参考にしてください。

非常用LED照明のしくみ

非常用LED照明は、主に内蔵されたバッテリーを使って点灯します。通常の電源が供給されているときはバッテリーを充電しておき、地震や火災などで電気が止まると、自動的にバッテリーから電力を供給して点灯する仕組みです。

多くの製品は停電から1秒以内に点灯するよう設計されており、暗闇になる前に照明がつくため、現場でのパニックを防ぐ効果もあります。

避難経路の確保と安全な誘導

非常用LED照明は通常、避難通路・階段・出入口などに設置され、災害時に建物内を安全に移動できるようにするためのものです。

特に人の出入りが多い病院・商業施設・学校・工場・集合住宅などでは、照明がないと避難が困難になり、事故や二次災害のリスクが高まります。非常用LED照明は、このような二次災害を発生させないための照明でもあります。

一般的なLED照明と非常用LED照明の違いとは?

一見すると同じように見えるLED照明にも、通常用と非常用では大きな違いがあります。基本的には一般的なLED照明を非常用として使用することはできないので注意してください。

下記では、一般的なLED照明と非常用LED照明の違いについてまとめているので参考にしてください。

電源の供給方式

まず1つ目の違いは、電源の供給方式です。通常用LED照明は、建物内の電力配線やコンセントから常に電力が供給されているタイプの照明です。スイッチを入れることで点灯し、必要に応じてセンサーやタイマーと連動することもあります。

つまり、電気が届いていることが前提であり、停電が発生すると使用できなくなるのが通常のLED照明です。

一方、非常用LED照明は、あらかじめ内蔵バッテリーに充電しておいた電力を使って点灯します。通常時は電源から充電を行いながら待機しており、停電や災害などで電力供給が途絶えると、自動的にバッテリー電源に切り替わり点灯するのが大きな特徴です。

このように、電源の供給方式がそれぞれ異なるので、施設の管理者は両方の照明を適切に組み合わせて導入することが大切になります。

設置の目的

通常の照明と非常用LED照明では、設置される場所や目的が異なります。

通常のLED照明は、オフィスや店舗、教室、工場など、日常的に人が活動する空間に設置され、明るさの確保や作業環境の向上を目的としています。また、天井全体に均等に配置されることが多く、快適性や省エネ性が重視されます。

一方で、非常用LED照明は、人の避難経路となる場所や、暗闇でも安全を確保すべき場所に設置されます。

例えば、廊下、階段、出入口、非常口、エレベーターホールなどが主な設置場所です。

これらの場所は、停電時や火災時に混乱が生じやすいため、すぐに点灯し視界を確保できる非常用LED照明が必要不可欠となります。

大規模施設の非常用LED照明は義務?

非常用LED照明は、災害や停電といった緊急時に人命を守るための設備として、法律に基づいて設置が義務付けられている建物や施設があります。

建築基準法・消防法による設置義務

建築基準法 消防法 設置義務

代表的な例として、病院・商業施設・学校・ホテル・工場・映画館・高層ビルなどがあげられます。これらの建築物は、建築基準法や消防法の定めにより、非常用の照明器具を一定の場所に設置することが義務付けられています。

例えば、建築基準法施行令第126条の5では、「地上に通ずる出口までの避難経路に照度を確保するため、非常用の照明器具を設けなければならない」と明記されています。消防法でも、避難経路や防火戸周辺など、避難行動に必要な範囲に照明を配置することが求められています。

特に不特定多数の人が集まる施設では、災害時に混乱が起きやすく、避難が遅れると重大な事故につながる恐れがあります。そのため、例にあげた大規模施設では、法令上の義務として設置しなければなりません。

指定避難所や公共施設の実態

非常用LED照明の設置は、各自治体が指定する指定避難所や公共施設でも、非常用照明の整備が進められています。災害時には地域住民の一時避難先として機能するため、夜間や停電時でも最低限の明るさを確保することが重要です。

実際には、避難所に指定されている学校や体育館の多くで、非常用LED照明の導入や更新が計画的に行われており、各自治体で整備が進められています。

法律で義務がなくても導入が望ましい施設

ここまでは非常用LED照明が義務となっている施設を紹介しましたが、大規模施設の中には義務付けられていない施設もあります。しかし、基本的には法律で義務がなくても設置するのが望ましいと言われており、具体的に当てはまるのは下記の施設になります。

  • 倉庫
  • マンション共用部
  • 中規模のオフィスビル

上記は、設置義務がありませんが、このような場所でも実際に停電や災害が発生すれば非難が必要になります。そのため、自主的な導入が強く推奨されています。

具体的に倉庫内での作業中に突然停電が起きると、事故や転倒のリスクが高まります。また、マンションの階段やエレベーターホールが暗くなれば、居住者が安全に移動できません。

このようなリスクを未然に防ぐためにも、法律にとらわれず、非常時に人の動きが想定される場所には非常用LED照明を設置することが望ましいと言えるでしょう。

非常用LED照明の選び方

非常時 LED照明 選び方

非常用LED照明は、その名の通り非常時しか使用しません。そのため、選ぶ際には設置できるだけでは不十分であり、非常時で確実に点灯し、安全を確保できるかが最も大切となります。

下記では選ぶ際に注目すべき3つのポイントを紹介するので、参考にしてください。

バッテリー性能と点灯時間の確認

非常用LED照明は、バッテリー容量と点灯時間が最も重要な選定基準となります。一般的には60分以上の点灯が標準ですが、施設の規模や避難時間を考慮して、90〜120分程度の点灯が可能な機種を選ぶと安心です。

また、充電方式やバッテリー寿命の長さ、交換のしやすさも重要です。導入後のメンテナンス負担を抑えるためにも、基本性能を事前にチェックしておきましょう。

明るさ・点灯速度・設置場所

災害時には、即時に明るくなることが安全に避難するために最も重要なポイントです。製品によっては点灯に数秒かかるものもあるため、停電から1秒以内に点灯する製品を選ぶことが理想です。

また、照明の設置場所によって求められる光の方向や広がりも異なります。例えば、廊下や階段には横方向に広がる配光、出入口や非常口には直下を明るく照らす配光が適しています。建物の構造に合わせて、最適な照明を選定することが大切です。

メンテナンスのしやすさとコストバランス

非常用照明は使用頻度が低い分、定期的な点検やバッテリー交換が不可欠です。交換がしやすい構造や、異常を知らせるインジケーター付きの製品であれば、管理の手間を減らすことができます。

さらに、初期費用だけでなく、バッテリーの交換頻度や修理の手間といった長期的な運用コストも考慮して選ぶことが重要です。価格が安くても維持費が高ければ、結果として非効率になってしまうこともあるので、メンテナンスのしやすさとコストバランスはしっかりと考えて選ぶことが大切です。

まとめ

非常用LED照明は、災害時に人命を守るための重要な設備です。大規模施設では法的に設置が義務付けられている場合も多く、そうでない施設でも積極的な導入が望まれます。

選定にあたっては、点灯時間・明るさ・設置場所・メンテナンス性など、非常時に確実に機能するかどうかを重視しましょう。非常用LED照明は、万が一ではなく、いつか起こるかもしれない事態への備えとして、今や欠かせない存在となっています。

ビルドスマートでは、施設に最適な非常用LED照明の提案から、補助金の申請まで一括でサポートしています。導入を考えているけど、知識がなくて不安に思われている施設の管理人様は、ぜひお気軽にご相談ください。