手軽に始められる省エネ対策:エネルギーマネジメントシステムとは

  • 2025年6月27日
  • 2025年6月18日
  • コラム

電気代の高騰や環境意識の高まりを受けて、企業や工場では省エネ対策が必要不可欠となっています。実際に、燃料費はかなり高騰しており、それが経営に与える影響も非常に大きいです。また、各国では温室効果ガスの排出量削減や省エネに関する法律が強化されており、違反すれば罰則や企業イメージの低下につながります。日本でも省エネ法や地球温暖化対策推進法などが整備されており、遵守することが求められています。

しかし、「何から始めればいいのか分からない」、「設備投資にはコストがかかる」といった企業も少なくないでしょう。そこで現在注目されているのが、手軽に導入できるエネルギーマネジメントシステムです。エネルギーマネジメントシステムを導入すれば、エネルギーの使用状況を可視化することができるため、効率的な省エネを実現できます。

そこで、今回はエネルギーマネジメントシステムの概要や種類、導入メリットについて詳しく解説しますので、興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

エネルギーマネジメントシステムの概要

概要 システム

エネルギーマネジメントシステムは、エネルギーの使用状況を適切に管理し、効率的で持続可能な運用体制を築くための重要な仕組みです。このシステムでは、電力やガスなどのエネルギー消費を見える化し、各種設備の運転状況を把握・制御することで、無駄のないエネルギー運用が可能になります。エネルギーマネジメントシステムは、EMSと表現されることも多いです。

そもそもエネルギーマネジメントシステムが重要視されている理由は、現状の資源で環境への負荷を最小限にしながら効率的にエネルギーを使用する必要があるからです。一般家庭に比べて企業は多くのエネルギーを必要するケースが多いです。このような企業が省エネの推進とエネルギー消費の最適化を図らずに、自由にエネルギーを消費していると環境への負荷はもちろんのこと、企業自身も燃料コストが肥大することになるでしょう。

そのため、企業は積極的にエネルギー消費を抑える取り組みをしなければなりませんが、エネルギー消費の効率化と最適化を図るためには、エネルギーの可視化が重要であり、それを実現するためには、エネルギーマネジメントシステムが必須となります。

エネルギーマネジメントシステムは、一般的に下記のような役割があります。

使用状況の計測と監視

まず、工場やオフィス、あるいは各種設備に取り付けられたセンサー類を用いて、電力・ガス・水道などのエネルギー使用量をリアルタイムで測定し、常時監視します。

データの集積と分析

蓄積された使用データをもとに、使用傾向やロスの発生箇所を分析。改善すべきポイントを明確にします。

エネルギーの制御と効率化

分析結果に基づき、必要に応じて設備の稼働状況を調整し、エネルギーの利用を最適な状態に保つよう制御します。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の種類

EMS 種類

エネルギーマネジメントシステムの種類は、大まかにわけて5つあります。それぞれの種類について詳しく解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

BEMS

オフィスビルや商業施設を対象に、建物全体の電力消費を見える化しながら、照明や空調といった設備の稼働を効率的にコントロールするシステムです。省エネと快適性の両立が可能になります。

HEMS

住宅におけるエネルギー使用状況を管理・最適化するための仕組みでエアコンや照明などの家電と連携させて自動で制御が行えます。電気やガスの使用量も可視化でき、節電意識を高めるのに効果的です。

FEMS

工場内のエネルギー使用状況をリアルタイムで監視・制御できるシステムです。空調や照明に加え、製造設備の消費電力も対象とし、生産ライン全体の効率向上を支援します。

MEMS

集合住宅向けに導入される仕組みで、各戸の電力使用状況を一括で管理し、データを蓄積・監視することが可能です。管理会社などが遠隔から操作できるほか、一括契約によって導入コストを抑えられる場合もあります。

CEMS

複数の施設や住宅、公共エリアを含むエリア全体のエネルギーを一元管理するシステムです。太陽光や風力などの再生可能エネルギーとの連携による供給量の調整にも対応しており、地域全体での効率的な電力利用を実現します。

エネルギーマネジメントシステムを導入する4つのメリット

太陽光 導入

エネルギーマネジメントシステムを導入することで、企業は数多くのメリットを獲得することができます。具体的にどのようなメリットがあるのか解説しますので、ぜひ参考にしてください。

建築・施設の消費エネルギーを可視化できる

エネルギーマネジメントシステムを導入することで、建築や施設の消費エネルギーを可視化することができます。

エネルギー消費を削減するためには、まず現状の設備の使用状況を可視化することが欠かせません。収集したデータをグラフなどで視覚的に表現し、詳細に分析することで、無駄を発見し効果的なコストカットが可能になります。

さらに、日常的な電力の使用傾向が明らかになることで、非常時に使用する予備電源の稼働可能時間についても、より正確に把握することができるようになります。

データを蓄積・分析することで改善すべき箇所がわかる

エネルギーマネジメントシステムを導入することで、データを蓄積・分析することができるようになります。そして、そのデータをうまく活用することで、改善すべき箇所が明確にわかるので、原因を特定しやすいです。

エネルギーマネジメントシステムは、表やグラフで現状把握を容易にしてくれます。これにより、稼働効率の低い機器や時間帯から電力の出力調整を実施していくことが可能です。

また、機器の稼働効率が向上した後、定期的なエネルギー消費の見直しが必要になりますが、エネルギーマネジメントシステムを導入すれば、そのシステムで取得したデータや改善実績を社内で周知することで、省エネの意識付けを行っていくことも可能になります。これにより、従業員全体の省エネに対する意識が変わるので、結果的に省エネルギーを抑えられる可能性があるでしょう。

建物・施設の消費エネルギーを最適化して運用できる

エネルギーマネジメントシステムを導入すれば、建物や施設の消費エネルギーを最適化して運用できるようになります。

例えば、エネルギーマネジメントシステムで工場全体の稼働状況やエネルギー使用量を一元的に可視化できるため、よりエネルギー消費を把握しやすくなります。また、取得したデータはモニター画面にグラフで視覚的にわかりやすく表示することができるため、消費エネルギーの把握がしやすいという点もメリットです。

また、設備の稼働状況を可視化できるため、製品を開発するための電力量を正確に把握することができます。さらに、生産状況とエネルギー使用量を組み合わせて分析することによって無駄なエネルギーを見つけて具体的な改善策を立てることができるようになるため、エネルギー消費を最適化できる点も大きなメリットです。

不具合や老朽化などにより稼働率が低下した機器を特定できる

エネルギーマネジメントシステムを導入することによって不具合や老朽化などにより稼働率が低下した機器を見つけやすくなるという点もメリットです。

長期間稼働を続けている工場では、設備の老朽化や細かな不具合が原因で、生産効率が落ちてしまうケースも少なくありません。このような課題に対しては、エネルギーマネジメントシステムの導入が有効です。稼働データの変化を継続的に追うことで、不調をきたしている機器や老朽化が進んだ設備を特定することが可能になります。

また、人の目では気づきにくい軽微な異常や不具合も、エネルギー使用量の変化からエネルギーマネジメントシステムが検知してくれるため、機器の性能が落ち込む前に対策を講じることができます。これにより、生産ラインの安定性を保ちながら、効率的な工場運営が実現することができるので、その点が大きなメリットのひとつといえます。

エネルギーマネジメントシステムを導入する際の注意点

エネルギー システム

このように、エネルギーマネジメントシステムにはたくさんのメリットがありますが、逆に注意点も存在します。ここでは、エネルギーマネジメントシステム導入の際の注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

初期費用がかかる

エネルギーマネジメントシステムには、初期費用やランニングコストがかかります。そのため、費用面がネックになり、導入を迷われる企業もいるでしょう。

しかし、現在はエネルギーマネジメントシステムを導入する際に活用できる補助金もあります。そのため、できるだけ費用を抑えてエネルギーマネジメントシステムを導入することは可能です。

設備によっては導入が難しい

エネルギーマネジメントシステムは、古い生産設備からデータを取得できない場合もあります。そのため、事前にデータをしっかりと取得できるかどうか確認しなければなりません。

運用には専門知識が必要

エネルギーマネジメントシステムの運用や分析には、専門的な知識が必要になるケースもあります。そのため、本格的にエネルギーマネジメントシステムを運用するためには、専門的知識のある人材を確保しなければならない企業もいるでしょう。

まとめ

今回は、エネルギーマネジメントシステムの概要やメリットについて詳しく解説しました。エネルギーマネジメントシステムには数多くのメリットがありますが、コストがかかるので、その点がネックになる企業も少なくありません。できるだけ安い価格で導入を進めたいという方は、ビルドスマートを利用するのがおすすめです。

ビルドスマートは、エネルギーマネジメントシステムの導入を検討している企業に補助金を活用した導入支援を実施しています。通常よりも安い金額で導入することができるので、興味がある方はお気軽にご相談ください。