ホテルや旅館などの宿泊施設において、リピート率を高めるための要素は幅広くあります。例えば、接客対応やアクセスの良さ、コストなどがあげられますが、その他にも重要な要素として快適な空間であることがあげられます。
快適な空間といっても幅広くありますが、その中でも印象を大きく変えるのが照明です。実際に照明にこだわっている宿泊施設は、宿泊客に良い印象を与えることができ、リピート率アップにつながっています。
本記事では、ホテルの照明をLED化し、共用部の印象を変えたいと考えている宿泊業者向けに、メリットから選び方、演出のコツ、導入前に知っておきたい重要なポイントまで詳しく解説します。
特に照明を工夫してリピート率を上げたいと考えている宿泊業者は、ぜひ参考にしてください。
ホテル共用部の照明をLEDにするメリットは?

ホテルなどの宿泊施設では、数多くの照明が使われています。その中でも共用部は、24時間点灯しているケースが多く、コストを考えるとLED化が望ましいと言えるでしょう。
下記の見出しでは、ホテルの共用部の照明をLEDに交換するメリットを紹介しています。LEDの具体的なメリットを知りたい宿泊業者は、ぜひ参考にしてください。
電気代を大幅にカットできる
共用廊下やロビーなど、宿泊施設の共用部は24時間点灯が基本のため、照明にかかる電気代は経営者にとって無視できないコストです。
特に蛍光灯や白熱灯を24時間365日稼働させると大幅なコストが発生しますが、LED照明ならこの2つに比べて消費電力が約50〜80%削減できるため、長時間点灯するエリアでは特に効果が大きくなります。
具体的にどの程度電気代を減らせるかというと、例えば40Wの蛍光灯を10WのLEDに交換するだけで、消費電力を4分の1に抑えられます。施設全体で見れば、年間数万円〜数十万円単位での電気代削減が期待できます。
メンテナンスの手間とコストが減る
LED照明は寿命が長く、約4万~6万時間と言われているため、蛍光灯のように頻繁な交換が必要ありません。具体的に蛍光灯のように頻繁に交換するシーンでは、高所作業や脚立の使用、業者手配といった作業負担が多くなります。
特に宿泊施設はお客さんの出入りが多くなるため、業者の出入りが多いと宿泊施設としての印象もあまりよくありません。
しかし、LEDなら交換やメンテナンスを大幅に減らせるため、サービスの質を保ちながら運営効率もアップするメリットがあります。
照明の質が向上し、空間の印象が良くなる
LED照明はコストやメンテナンス頻度を減らせるメリットがありますが、その他にも色温度を調整でき、空間の印象をよく見せられるメリットもあります。
例えば、ホテルのロビーでは電球のようにあたたかい光を使用すれば、落ち着いた雰囲気を演出でき、宿泊客にリラックス効果を与えられます。
一方、廊下やエレベーターホールでは白っぽく明るい色を使用することで、安全で安心できる空間を演出できます。
このように、LEDは光の調整がしやすく、ちょっとした演出にも活用できます。細かな工夫が、宿泊客に良い印象を与えることが可能になります。
エリア別のLED照明の選び方と演出のコツ

ホテルや旅館の共用部では、場所ごとに求められる照明の役割が異なります。LED照明の特性を活かすことで、省エネだけでなく空間の印象を良くする演出が可能です。
ここでは、宿泊施設でよく使われる4つのエリアに分けて、LED照明の選び方と演出のポイントをご紹介します。
ロビー
ロビーは、宿泊客が最初に足を踏み入れる場所です。そのため、ホテル全体の第一印象を左右する重要な空間となります。LED照明の役割としては、単に明るくするだけでなく、「落ち着き」や「高級感」、「清潔感」などを演出することが求められます。
おすすめは、電球色のLED照明です。柔らかい光が空間全体を包み込むように照らし、居心地の良さを演出してくれます。特に、カウンターまわりや待合スペースには間接照明を使うと、影がやわらぎ、リラックスできる空気感を作り出せます。
また、ダウンライトやスポットライトを使って観葉植物や壁面のアートに光を当てることで、空間に奥行きと個性が加わります。チェックイン時に心地よい照明で迎えられた体験は、そのまま施設への好印象となり、リピート率アップにつなげられます。
廊下
廊下は、客室までの導線であり、安全性と安心感を第一に考える必要があります。
長く伸びる廊下では、照明が均等に配置されているかどうかが大切で、明るさにムラがあると不安感を与える原因になります。
おすすめは、昼白色の直管型LED照明です。特徴としては、視認性が高く、清潔で明るい印象を与えることができます。天井に直接取り付けるタイプでも、器具によってはまぶしさを抑える設計のものを選ぶと、より快適な空間を演出できます。
さらに、省エネを考えるなら、人感センサー付きLEDの導入も効果的です。夜間や人通りの少ない時間帯には自動で消灯・点灯を切り替えることで、無駄な電力消費を防ぎつつ、セキュリティ効果も高めることができます。
廊下の照明は目立たない存在ではありますが、実は宿泊客の無意識の安心感を支える大切な要素となります。
エレベーターホール
エレベーターホールは、ロビーと客室フロアをつなぐ中間地点であり、一時的に立ち止まる場所です。そのため、閉鎖的な空間であっても安心感を持ってもらえる照明設計が求められます。
推奨されるのは、面発光型のLED照明や、やわらかい光が広がるパネル型LEDです。均一で影の少ない光は、圧迫感をやわらげ、待ち時間を落ち着いた気持ちで過ごせるようにしてくれます。
また、明るさセンサー付きの照明を導入すると、昼間は自然光を取り入れつつ、夜間は必要な明るさを確保できるなど、効率の良い照明の運用が可能です。ちょっとした工夫としては、床や壁の色に合わせた照明色を選ぶことで、空間全体の統一感も出しやすくなります。
エレベーターの扉が開いた瞬間、明るく清潔感のある照明で迎えられることは、小さなことのようでいて、「この施設はきちんとしている」という印象を与えることができ、リピート率アップにつながります。
トイレ・洗面所
トイレや洗面所は、宿泊客が必ず利用する場所であり、清潔感と明るさが最も求められるエリアです。ここでの照明が暗かったり、顔色が悪く見えたりすると、たとえ実際に清掃が行き届いていても、不快な印象を与えてしまう可能性が高くなります。
そのため、トイレ・洗面所エリアでは、高演色(演色性Ra90以上)のLED照明が適しています。演色性とは「色をどれだけ自然に見せるか」を示す指標で、高いほど肌や物の色をきれいに見せてくれます。特に洗面所では、顔を映す鏡周りの照明が重要で、光が顔全体をやさしく照らす設計になっていると、使いやすさと心地よさが格段にアップします。
また、トイレの照明はセンサー付きで自動点灯・消灯するタイプにすることで、衛生面にも配慮できます。手を触れずに済む照明操作は、近年のニーズにも合っており、快適性と安全性の両立が可能です。
LED照明に交換する前にチェックしたいポイント!

LED照明はメリットが多い一方で、スムーズに導入するためには事前の確認が欠かせません。ここでは、ホテルや旅館などの共用部にLEDを導入する前にチェックしておきたい4つのポイントをご紹介します。
既存の照明器具との互換性(口金・サイズ・電圧)
まず確認すべきは、現在使っている照明器具とLEDが適合するかどうかです。口金のサイズや種類が異なると設置できませんし、電圧が合わないと正常に点灯しない場合もあります。
特に蛍光灯タイプの照明をLEDに交換する際は、工事が不要なタイプかどうかも含めて確認しておくことが大切です。
眩しさ対策の有無
LEDは明るさが強いため、種類によっては光が直接目に入り、まぶしさを感じることがあります。これを「グレア」と呼びます。
人が長時間滞在するロビーや廊下では、グレアを抑えたカバー付きの照明や、光を柔らかく広げる設計のLEDを選ぶと快適性を向上させることができるので、ちょっとした工夫を行うようにしましょう。
全体の明るさバランス
一部だけをLEDに交換すると、空間全体の明るさにムラが出ることがあります。
特に共用部は複数の照明が連なっているため、光の色や明るさの違いが目立ちやすい場所です。既存照明とのバランスを見ながら、色温度をそろえるなど配慮するようにしましょう。
防水・防塵性能が必要なエリアの確認
屋外に近い出入口や、湿気がこもりやすいトイレ・洗面所などでは、防水・防塵性能を備えたLED照明を選ぶことが重要です。
これらの場所では、水滴やホコリが照明にかかるリスクが高く、適切な性能を持たない照明を使うと故障や寿命の短縮につながります。
そのため、選ぶ際には「IP65」などの防水等級を確認し、使用環境に合った製品を選びましょう。
まとめ
宿泊施設の共用部にLED照明を導入することで、電気代やメンテナンスコストの削減に加え、空間の印象を大きく向上させることができます。
特にロビーや廊下、トイレなどは照明の質が宿泊客の満足度に直結し、リピート率アップにもつながります。照明の交換は単なる設備更新ではなく、宿泊施設の印象を底上げする大きなチャンスとなります。この記事を参考に、施設全体の照明環境を見直してみてはいかがでしょうか。
ビルドスマートでは、LED照明の導入を検討する宿泊施設向けに、補助金を活用した導入支援サービスを提供しております。照明の選定から申請サポートまで一貫して対応が可能です。LED照明は初期コストがデメリットとなりますが、補助金を活用すれば安く抑えられるので、できる限りコストを抑えたい方はぜひお気軽にご相談ください。