LED照明は寿命が長いって本当?交換頻度・メンテナンスコストを徹底比較

近年、オフィスや工場、店舗などでLED照明の導入が進んでいます。その理由の一つに「LEDは寿命が長く、交換頻度が少ない」という点がよく挙げられます。

しかし実際のところ、LED照明はどれほど長く使えるのでしょうか。また、使用方法や設置環境によって寿命やメンテナンスコストはどう変わるのでしょうか。

本記事では、蛍光灯や白熱灯と比較したLEDの寿命や、交換頻度、メンテナンスコストなどについて詳しく解説します。LED照明への切り替え、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

LED照明の寿命とは?

LED照明の「寿命」とは、ただ単に光がつかなくなるタイミングを指すわけではありません。白熱電球や蛍光灯のようにフィラメントの断線や点灯不良で突然使えなくなるものとは異なり、LEDは徐々に光の明るさが低下していく特性があります。

一般的にLEDは、内部のLEDチップが発光しますが、時間の経過とともにその明るさが落ちていきます。このため、日本照明器具工業会では、「光の明るさ(光束)が一定の割合まで減少したとき」を寿命と定義しています。多くの場合、最初の明るさから70%に低下したタイミングが寿命の目安とされています(カラータイプでは50%)。

つまり、LED照明は「点かなくなる=寿命」ではなく、「明るさが実用レベルを下回る=寿命」と考えるのが基本です。なお、これは設計上の目安であり、実際の使用環境や条件によって変動する点には注意が必要です。

参考:日本照明器具工業会

LED照明の寿命はどれくらい?

LED照明は長寿命と言われていますが、実際にどれくらい使えるのか気になる方も多いのではないでしょうか。ここではLED照明の平均寿命について詳しく解説します。

平均寿命は約40,000〜60,000時間

LED照明の寿命は、一般的に約40,000〜60,000時間とされています。これは、メーカーが設計段階で想定している使用時間の目安であり、正しく使えば使うほど長寿命になります。

例えば1日に8時間点灯した場合、10年以上使用できる計算になり、長期間にわたって交換の必要が少なく済みます。

ただし、LED照明は時間の経過とともに徐々に明るさが低下していくため、たとえ点灯していたとしても、一定以上に暗くなった段階で交換を検討する必要があります。

使用状況によって寿命は変わる

LED照明の寿命は、使い方によって変わります。たとえば、スイッチのオン・オフを頻繁に繰り返すと、内部部品への負担が大きくなり、寿命が短くなることもあります。

また、高温多湿の場所や、空気がこもるような場所では、熱がこもって劣化が早まることがあります。逆に、温度や湿度が安定している環境では、通常よりも長く使い続けることができます。

このように寿命は使用状況によっても異なるため、LED照明を長く使うには、使用環境や設置場所に合った製品を選ぶことも大切です。

従来照明との寿命・交換頻度の比較

LED照明が注目される理由の一つに寿命の長さがありますが、具体的に白熱灯や蛍光灯とはどのくらい異なるのでしょうか。ここでは、LED照明と従来の白熱灯、蛍光灯、HIDランプとの寿命と交換頻度の違いについてわかりやすく比較していきます。

白熱灯・蛍光灯・HIDランプとの比較表

LED照明との比較をした表を下記に掲載しています。下記の表では平均寿命を掲載していますが、見てもわかる通りLEDは他の照明と比べても寿命は長くなっています。

照明の種類平均寿命(時間)特徴
白熱灯約1,000時間安価だが消費電力が多く寿命が短い
蛍光灯約6,000〜12,000時間比較的長寿命だが、頻繁な点灯消灯で寿命が縮むことも
HIDランプ約12,000〜24,000時間高輝度で広い空間に適しているが、点灯までに時間がかかる
LED照明約40,000〜60,000時間長寿命・省エネ・メンテナンス頻度が少ない

実際の交換頻度はどれくらい?

LED照明の寿命は約40,000〜60,000時間であり、1日8時間使用するオフィス環境では約13〜20年ほど交換の必要がないことになります。一方で、白熱灯や蛍光灯は数ヶ月から数年に一度の頻度で交換が必要です。

また、高い場所に設置されている照明や、広い施設に多数設置されている場合は、交換作業にかかる人件費や足場の設置などの費用が重なりやすくなります。

LEDを導入することで、こうした定期的なメンテナンスにかかる時間やコストを大幅に削減することが可能です。長期的に見れば、LED照明は経済面でも大きなメリットがある選択肢と言えるでしょう。

メンテナンスコストはどのくらい削減できる?

LED照明の導入によって、光熱費だけでなくメンテナンスコストの大幅な削減も期待できます。特に、天井の高い病院や物流倉庫、大型店舗のような施設では、照明の交換作業に多くの人手と費用がかかるため、導入効果は他の照明と比べて大きくなります。

例えば、病院の廊下や手術室、高天井の倉庫内などでは、照明器具の交換時に足場の設置や高所作業車が必要になることがあります。

このような現場では、器具1つの交換に対しても、作業員の人件費・安全対策費・夜間や休日の作業対応費など、トータルで数万円から数十万円の費用がかかることもあります。

LED照明は平均で約40,000〜60,000時間の寿命があるため、従来の蛍光灯や白熱灯に比べて、交換頻度を1/5〜1/10にまで減らすことが可能です。例えば、年に1回の交換が必要だった照明を、10年に1度の交換で済むようになれば、その差は歴然です。

また、メンテナンスの頻度が下がることで、現場での作業リスクも減り、作業調整にかかる時間も削減できます。さらに、営業中の作業を避けるために行っていた夜間工事や休日作業も必要なくなるケースが多く、結果的に人件費や付帯コストのカットにもつながります。

LED照明への切り替えは、単に電気代を減らすだけでなく、このような見えにくい維持費にも大きなインパクトを与えます。長期運用を見据えたコスト最適化を目指すなら、LED導入によるメンテナンス費削減は見逃せないポイントと言えるでしょう。

見落としがちなコスト要素とは?

照明器具の導入を検討する際、器具の価格や電気代などのコストに目が行きがちですが、実際にはそれ以外にも多くの見えにくいコストが存在しています。この見出しでは、照明器具の種類で迷っている方向けに、あらゆる照明にかかる見落としがちなコストを紹介します。

高所作業にかかる人件費や足場代

先ほども少し触れた内容ですが、天井の高い場所では、交換作業に高所作業車の手配や仮設足場の設置が必要となり、それに伴う作業員の人件費や機材費が発生します。

高所作業は簡単に済むものではなく、1回の交換で数万円から数十万円のコストがかかることも珍しくありません。特に蛍光灯やHIDランプなどの従来照明は、寿命が短く、頻繁な交換が必要になるので注意が必要です。

LED照明なら寿命が長く、高所作業の回数を大幅に減らすことができ、その分の費用削減にもつながります。

廃棄物処理にかかるコスト

蛍光灯には微量ながら水銀が含まれており、廃棄する際には「産業廃棄物」として特別な処理が必要です。

廃棄には回収・処理を専門業者に依頼しなければならず、1本あたり数百円〜数千円の処理費用が発生するケースもあります。特にオフィスや施設の規模が大きい場合、何千本もの蛍光灯が使用されているケースがあるため、廃棄だけで膨大な金額が発生してしまいます。

一方、LED照明には水銀は含まれていません。廃棄時の処理コストが大幅に軽減されるため、大きなメリットと言えます。

閉店・立入制限による売上・生産性の低下につながる

照明交換時には、一定の作業スペースが必要になるため、施設によっては営業を一時停止したり、作業エリアを立入禁止にしたりする必要があります。

特に小売店舗や飲食店などでは、この間の売上機会が失われることになり、結果的に大きな経済的損失となります。

LED照明においても交換作業が必要なる際には、閉店や立入制限が必要です。しかし、そもそも交換頻度が蛍光灯などに比べて少ないため、営業・生産面での機会損失は大幅に防ぐことができます。

補助金を活用すればさらにコストを抑えられる

数ある照明器具の中でも、LED照明には幅広いメリットがあり、ほとんどの企業や施設ではLEDの導入が進んでいます。

特にコストを大幅に抑えられるというのがLED照明の大きなメリットですが、唯一のデメリットとして、導入費用が高くなりやすい点があげられます。

初期費用が高くなりやすいため、企業によっては断念せざるを得ないケースもありますが、初期費用の負担を抑える方法として、補助金の活用があります。

例えば、経済産業省が実施している「省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位型)」では、LED照明をはじめとする省エネ設備の導入費用の1/3が補助されます。これは全国の企業・事業所が対象となっており、照明器具はもちろんのこと、空調や冷蔵設備なども組み合わせて申請ができます。

また、東京都内の中小製造業を対象とした「LED照明等節電促進助成金」では、導入費用の1/2が助成され、最大1,500万円まで補助が受けられる制度となっています。これらを活用すれば、数百万円規模の導入費用も大幅に軽減でき、より導入のハードルを下げることが可能です。

上記で説明した補助金等を活用すれば、LED照明にある唯一のデメリットを解消することができるので、初期費用を抑えたいなら補助金も積極的に活用していきましょう。

まとめ

LED照明は寿命が長く、交換頻度やメンテナンスの手間を大幅に削減できます。初期費用はやや高めですが、補助金を活用すればコストを抑えた導入が可能なので、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位型)」や「LED照明等節電促進助成金」の活用を検討してください。

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