病院のLED照明導入で年間◯万円のコスト削減?補助金活用の実例を解説

  • 2025年4月17日
  • 2025年4月17日
  • コラム

病院における電気代は年々増加しており、その原因は基本料金・電気料金単価の値上げや、電気の使用量増加、国際情勢の変化など幅広い理由があります。

今後も電気代は値上げされることが予想されているため、できる限りコストを削減する方法はないかと悩んでいる病院も多いのではないでしょうか。

対策方法は幅広くありますが、その中でも蛍光灯からLED照明への切り替えを検討されている病院も多いでしょう。

本記事では、病院にLED照明を導入することのメリットや、補助金を活用した導入コストを抑える方法など幅広く紹介しているので、導入で悩まれている病院は、ぜひ参考にしてください。


病院でLED照明を導入するメリット

病院 LED照明導入 メリット

病院では、現在でも従来の蛍光灯や白熱電球が使用されているケースが見受けられます。これらは消費電力が高く、電気代高騰の原因にもなるため、できる限り電気代を抑えたいと考えているならLED照明の導入がおすすめです。

この見出しではLED照明を病院に導入することで具体的にどのようなメリットがあるのか詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

電気料金の削減につながる

1つ目のメリットは、電気料金の削減につながることです。

LED照明は、従来の蛍光灯や白熱電球に比べて省エネルギーであることが特徴です。例えば、一般的な蛍光灯の消費電力が40Wであるのに対し、同等の明るさがあるLED照明は約15W程度で済むことが多いです。つまり、電気の使用量が約60%削減できる計算になります。

病院では多くの照明が24時間稼働しているため、この消費電力の違いが電気料金に大きく影響すると言えるでしょう。特に病室や廊下、待合室など常に照明が必要な場所ではLED照明に変更することで電気代を大幅に削減することができます。

また、LED照明は熱の発生が少ないことも魅力の一つです。従来の照明は発熱が大きく、特に夏場には空調設備への負荷が高まり、それによって電力消費量が増えてしまうことがあります。しかしLED照明なら、熱をほとんど出さないため、空調の稼働率を抑えることができるのです。

特に病院のように冷暖房を長時間使用する施設では、エアコンの負荷軽減による電気料金の削減効果も見逃せないため、LED照明に変更することは大きなメリットと言えます。

照明器具の交換・メンテナンスコストが削減できる

2つ目のメリットは、照明器具の交換・メンテナンスコストが削減できることです。

LED照明の寿命は一般的に4万時間~5万時間と長く、蛍光灯は約6,000~1万時間と言われているため、寿命は5~8倍の長さに相当します。

そのため照明の交換頻度は蛍光灯によりも大幅に減らすことができ、メンテナンスにかかる手間と費用が削減できます。

特に病院では、廊下、病室、手術室など複数の場所に照明を設置しているため、照明交換の回数が減ることは大きなコストダウンにつながります。

実際にLEDを導入した病院では、交換頻度が大きく減った結果、年間メンテナンスコストを50%以上削減できたという事例もあります。また、高所作業や夜間作業に伴う人件費も減らせるため、病院スタッフの業務効率改善にもつながります。

安全性・快適性が高まり、患者の満足度が向上する

3つ目のメリットは、LED照明を病院に導入することで、院内の安全性と快適性が向上し、結果的に患者の満足度が高まることです。

まず、LEDは発光が安定しており、チラつきが少ないため、目に優しく、長時間の滞在でも疲れにくい特徴があります。安定性に優れていると、患者がストレスを感じにくく、リラックスして過ごせる環境を整えられるメリットがあります。

また、LED照明は点灯直後から明るくなるため、夜間や非常時でもすぐに十分な明るさを確保でき、転倒や事故のリスクを減らせる点もメリットと言えます。さらに、自然光に近い色合いの照明を選べば、院内が明るく清潔に感じられ、心理的にも安心感を与える効果があります。

これらの理由から、LED照明の導入は患者にとって快適な療養環境を提供し、病院への信頼感や満足度の向上につながるのです。

環境に優しい病院づくりが可能になる

LED照明を病院に導入することは、環境にやさしい病院づくりに大きく貢献します。LEDは従来の蛍光灯などに比べて消費電力が少ないため、電気を使う量が減り、その分、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出も少なくて済みます。病院のように電気を多く使う施設では、この効果がとても大きく、環境への負担を軽くすることができます。

また、病院は地域の人々にとって身近で大切な存在なので、環境を大切にしている姿勢は、地域の住民や行政、患者さんやそのご家族からも高く評価される傾向にあります。最近では「カーボンニュートラル」や「SDGs」といった考え方が広まり、環境に配慮した病院づくりは、社会的な信頼を得るだけでなく、病院のイメージアップや他の医療機関との差別化にもつながります。

LED照明への切り替えは、環境に配慮した病院経営の第一歩として、わかりやすく効果的な取り組みです。病院が率先して環境対策を行うことで、持続可能な社会の実現にも貢献できます。

LED照明の導入には補助金が活用できる?

LED照明 導入 補助金

LED照明を病院に導入するには、照明器具の購入費や工事費、設置作業にかかる人件費など、ある程度まとまったお金が必要になります。病院は照明の数が多く、24時間稼働している場所も多いため、導入費用も高額になりがちです。

そこで使えるのが、経済産業省が実施する「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」です。この補助金は、LED照明のような「省エネ設備の導入」を支援するために用意されたもので、導入にかかる費用の一部(通常1/3程度)を国が負担してくれます。

たとえば、LED照明の導入に600万円かかる場合、この補助金を活用すれば最大200万円(1/3)が補助されることになります。これにより、病院の自己負担は実質400万円になり、初期費用を大きく減らせるのです。

また、その他にもLED照明は従来の蛍光灯や白熱電球と比べて、消費電力が非常に少なく、同じ明るさでも電気代を約半分以下に抑えることができます。また、寿命も長いため、交換やメンテナンスの頻度も減り、維持費も節約できます。

補助金を使うことで、導入時の費用が減る上に、毎月の電気代も安くなります。つまり、かかった費用を電気代の節約で取り戻すまでの期間が早くなり、回収期間は1年半ほど短くなる可能性もあります。

下記にイメージ例を出しているので、そちらも参考にしてください。

【イメージ例】

LED照明導入費用:600万円 → 補助金で実質400万円

毎月の電気代の節約額:10万円

回収期間:

 → 補助金なし:600万円 ÷ 10万円 = 60か月(約5年)

 → 補助金あり:400万円 ÷ 10万円 = 40か月(約3年4か月)

補助金活用の実例解説

補助金活用 実例

ここからは、病院がLED照明を導入し、省エネルギー投資促進支援事業費補助金などを活用した実例を3つご紹介します。

実例①:地方都市の中規模病院(病床数150床)

この病院では、夜間照明や手術室などの高照度を求められるエリアを中心に、館内の蛍光灯約1,200本をLEDに交換しました。初期費用として約800万円が見積もられましたが、補助金制度を活用したことで約260万円の補助を受け、自己負担は540万円に抑えることができました。

その結果、年間の電気代が約90万円削減され、補助金なしなら約9年かかる回収期間も、実質6年に短縮。長寿命のLED照明によって、交換工数とコストも軽減され、設備管理コストの削減にもつながりました。

実例②:都市部の小規模クリニック(病床なし・診療所)

このクリニックでは、待合室・診察室・事務室の照明約200本をLED化しています。

小規模ながらも電気使用量が多く、特に夏季や冬季の照明による消費が課題でした。補助金制度を利用することで、約150万円の初期費用のうち約50万円の補助を受けられ、自己負担は実質100万円で済んでいます。

電気料金は年間で約25万円の削減に成功し、わずか4年で初期費用を回収可能と試算されました。

実例③:高齢者施設併設の大型病院(病床数300床以上)

こちらの病院では、診療エリアに加えて、併設する介護施設や病棟廊下など含め、合計約3,000本の照明をLEDに更新。高額な導入費(約2,000万円)となりましたが、国の補助金制度を活用して約700万円の補助を受けています。

電気代は年間で約200万円の削減効果が見込まれ、8年程度かかるとされた回収期間が、実質5年に短縮されました。夜間の安全性向上とメンテナンスの省力化も実現し、スタッフの業務効率にも良い影響が出ています。

実例④:中規模病院(病床数150床以上)

こちらの病院では、蛍光灯の製造終了を見据え、2016年に試験導入、翌2017年から本格的にLED化を実施しました。

合計約4,000本をLED照明に置き換え、電気使用量を前年同月比で20〜30%削減。さらに、無線スイッチを導入し、手元で照明のオン・オフを管理できるようにすることで、さらなる省エネも実現しました。

また、照明の交換作業が大幅に減ったことで、夜間の対応や作業時間の負担も軽減。結果として、業務効率や職員の働き方にも良い影響をもたらしています。照明の明るさにも好評の声が上がり、安全性の面でも貢献しています。

まとめ

病院におけるLED照明の導入は、電気料金の削減、メンテナンスコストの低減、安全性と快適性の向上、さらには環境への配慮といった多くのメリットがあります。

加えて、経済産業省の補助金を活用することで、初期導入コストの負担を大幅に軽減することも可能です。実際に補助金を利用してLED化を進めた病院では、回収期間の短縮や大幅な省エネ効果が報告されており、長期的な視点で見ても非常に有効な投資だと言えるでしょう。

ビルドスマートでは、LED照明導入に関するご相談から、補助金の申請サポートまで一貫して支援しております。補助金を活用した導入を検討されている病院・医療施設のご担当者様は、専門スタッフが丁寧にご対応いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。