小規模ビルでもBEMSを導入した方がいい?導入のメリットとは

  • 2025年2月25日
  • 2025年2月15日
  • コラム
小規模ビル BEMS 導入メリット

BEMSは、Building and Energy Management Systemの略で、ビルのエネルギー管理システムのことを指しています。

大規模ビルを中心に導入が進められており、ビル内の空調や照明などのエネルギー使用状況を常に見える化し、設備機器の稼働を自動で制御するなど、エネルギーを総合的に管理できるシステムとなっています。

そんな魅力的なシステムですが、大規模ビルのみならず小規模ビルでも導入の検討がされています。しかし、数としてはまだまだ少なく、小規模ビルでの導入は悩まれている方が多い印象です。

そこで本記事では、なぜ小規模ビルでBEMSの導入が進んでいないのか理由を説明し、導入するメリット、具体的な導入ステップまで詳しく解説します。

導入を検討している小規模ビルの管理者にとっておすすめの内容となっておりますので、ぜひ参考にしてください。

小規模ビルでBEMSの導入が進んでいない理由

小規模ビル BEMS導入 進んでいない

小規模ビルでBEMSの導入が進んでいない理由としては、大きく分けて3つのポイントがあげられます。

初期費用の負担が大きい

BEMSの導入には、センサーやソフトウェアの設置費用、システム運用のための設備改修費がかかるため、小規模ビルの管理者にとってはコスト面で大きな負担となります。

特に大規模ビルと比較しても資金の回収のスピードが遅くなる可能性があるため、費用対効果が悪いと感じるケースも少なくありません。

このような費用の負担が、導入に踏み切れない理由の一つとなっています。

専門知識や運用ノウハウが不足している

BEMSは、ビルで使用する電力やエネルギーのデータを分析し、エアコンや照明などの設備を自動で調整するシステムです。ただ単に導入すれば効果が得られるというものではなく、ビルの環境に合わせた適切な設定や運用の仕方を理解することが重要になります。

特に小規模ビルでは、システムを管理する専門スタッフがいないことが多く、「導入をしたとしても使いこなせるか不安」と考える管理者や事業者が多いのが現状です。

その結果、BEMSは便利な機能があっても十分に活用されないまま終わってしまうケースが多く、導入をためらう事業者が多くなっています。

省エネ対策の優先度が低い

小規模ビルでは、空室対策やテナントの管理、建物の修繕など、他に優先すべき課題が多くなっており、ビルのエネルギー管理については後回しになっているケースがほとんどです。

特に、電気代などのエネルギーコストが大きく変動していない場合、「今のままでも問題なく運営できている」と考え、あえて新しい設備を導入しないことも少なくありません。

また、「省エネをしたいけど、何から始めればいいのかわからない」という理由で、具体的な対策を進められないケースも多いです。

このように優先順位が低くなるケースが多いため、BEMSの導入が進んでいない小規模ビルが増えています。

小規模ビルにBEMSを導入するメリット

小規模ビル BEMS導入 メリット

BEMSといえば、これまでは大規模ビルでの導入が中心となっていましたが、近年では小規模ビルでもBEMSを活用することでコスト削減や設備の効率的な運用が可能になっています。

ここでは、小規模ビルがBEMSを導入することで得られる具体的なメリットを5つ紹介するので、導入を検討している小規模ビルの管理者は、ぜひ参考にしてください。

エネルギーコストの削減ができる

BEMSの最大のメリットは、電気やガス、水道などの使用状況を見える化できることであり、どの設備がどのくらいのエネルギーを消費しているか瞬時に特定できる点です。

例えば、オフィスの空調が夜間も稼働していたり、照明が無駄に点灯していたりすることが分かれば、それを改善することで光熱費の削減につながります。

また、使用状況に応じた最適な運転スケジュールを組むことで、エネルギーコストの大幅な削減も期待することができます。

ここ最近では、エネルギーコストの値上がりが進んでおり、実際に負担となっている小規模ビルの管理者も多いでしょう。BEMSを活用し、しっかりと管理ができれば大幅にコストが削減できるため、小規模ビルでも導入を検討すべきと言えるでしょう。

運用の効率化につながる

BEMSを活用することで、空調や照明の管理が自動化され、無駄な電力消費を防ぐことができます。

例えば、外気温や室温に応じてエアコンの温度を最適に調整したり、人の動きに合わせて照明を自動でオン・オフしたりすることが可能です。さらに、クラウドシステムと連携すれば、遠隔からの管理も可能になります。

また、管理者がオフィスにいなくても、スマートフォンやPCから空調や照明の状態を確認し、調整できます。これにより、エネルギーの無駄を削減できるのはもちろんのこと、自動調整機能を活用することで、運用の手間も減らせるなど、人手不足で悩む小規模ビルでも効率的に運用していくことが可能になります。

導入設備の寿命を延ばせる

小規模ビルにとって、導入設備の故障は大きな負担となり、修理費や買い替えによって大きなコストがかかるケースがあります。基本的には、このような事態になる前に対処することが大切ですが、設備の状態を確認できない状況では難しいのが現状です。

しかし、BEMSを導入すれば、エネルギーの使用状況をリアルタイムで監視できるため、設備の状態を一目で確認することができ、劣化や異常を早期に発見することが可能になります。

例えば、エアコンやボイラーなどの機器が通常よりも多くの電力を消費している場合、フィルターの目詰まりや機器の異常が疑われます。このような兆候を早めに察知し、適切なメンテナンスを行うことで、設備の寿命を延ばし、突発的な故障を防ぐことができます。

BEMSを導入することで、設備を常に監視できる状態を作り上げることができるので、何もチェックしていない状況と比べて設備の寿命を長く延ばすことが可能になります。

環境対策になる

BEMSの導入は、エネルギー使用量の削減だけでなく、CO₂排出量の管理・削減も可能になります。これは、企業が環境対策を進める上で大きなメリットです。

特に、近年は企業のESG(環境・社会・ガバナンス)経営が重視されており、省エネや脱炭素化の取り組みが企業価値を高める要素となっています。また、「ゼロエミッション東京」などの国や自治体の省エネ施策にも対応でき、将来的な規制への適応がスムーズになります。

このように幅広いメリットがあるため、環境対策を重視している小規模ビルでは、できる限りBEMSの導入がおすすめと言えます。

補助金が活用できる

小規模ビルにおいてBEMSの導入は、コストの負担が課題となるケースが多くなっています。できる限りコストを抑えることで導入のハードルを低くすることができますが、その方法の一つとして補助金があります。

BEMSは環境対策にもなるシステムとなっているため、国や地方自治体からの補助金も多く出されています。特に東京では、「ゼロエミッションビル化支援事業」や「エネルギーマネジメント推進事業」など、BEMSの導入費用の一部を支援してくれる補助金が増えています。

補助金を活用すれば通常よりも安く導入することが可能になるため、小規模ビルでもコストを気にせず導入することが可能になるでしょう。

小規模ビルでのBEMS導入ステップ

小規模ビル BEMS導入ステップ

BEMSの導入は、小規模ビルにおいても幅広いメリットがあり、現在は補助金を活用することができるため、さらに導入のハードルが低くなっています。

実際に補助金を活用しながら導入を検討している小規模ビルの管理者も多いかと思いますが、スムーズに導入するためには何から始めるべきか気になっている方も多いでしょう。

下記では具体的な導入ステップについて説明しているので、興味がある方はそちらを参考にしてください。

STEP1:まずはエネルギー診断を実施

BEMSを導入する際には、システムの選定からではなく、まずはエネルギー診断を受けることをおすすめします。

エネルギー診断を受けることで、電気やガス、水道の使用状況がわかり、どこに無駄があるのか明確にできます。

具体的な改善点が見えることで、診断の結果をもとにどの機能のシステムを導入すべきか判断しやすくなるため、必ずエネルギー診断を受けるようにしましょう。

現在であれば「一般社団法人省エネルギーセンター」が実施する低コストで受けられるエネルギー診断もあるので、できる限り負担なく診断を受けたい場合はそちらから申請するようにしましょう。

STEP2:BEMS を選ぶ

BEMSといっても幅広い種類があります。それぞれ機能やコストなど異なる点がありますので、自社にとって何が最適かよく検討してから選ぶようにしましょう。

現在は、小規模ビルに最適なクラウド型のBEMSもあります。クラウド型は専用のサーバーを設置せずに利用できるため、大幅なコスト削減が実現できます。

STEP3:導入計画を立てる

次に、どの設備にBEMSを接続するかを決めます。空調・照明・給湯設備など、電力消費の多い機器に接続することで、より効果的な省エネが可能になります。

また、導入にかかる費用や工期を確認することも重要です。事前に見積もりを取り、どのくらいの期間で設置が完了するのかを把握しておきましょう。オフィスの稼働に影響が出ないよう、工事スケジュールを調整することも大切です。

STEP4:補助金を活用してコストを抑える

BEMSの導入には一定の費用がかかりますが、補助金を活用すれば負担を軽減できます。

例えば、東京都では以下のような補助金制度があります。

  • 「ゼロエミッションビル化支援事業」(省エネ設備の導入費用を補助)
  • 「エネルギーマネジメント推進事業」(BEMS導入を支援)

補助金を利用すれば、導入費用の最大2/3が支援される場合もあります。申請には期限があるため、コストを抑えて導入をしたいと考えている方は、早めの申請をおすすめします。

STEP5:BEMS導入・運用開始

BEMSの設置が完了したら、エネルギー使用データを定期的にチェックし、最適な運用を行いましょう。

導入後もデータを分析し、無駄なエネルギー使用がないか確認することが重要です。適切な運用を続けることで、これまで以上にエネルギーコストを削減することができるでしょう。

まとめ

今回は、小規模ビルにおけるBEMSの導入について紹介しました。小規模ビルにおいても幅広いメリットがあるため、省エネ対策を考えている事業者は、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ビルドスマートでは、補助金を活用したBEMSの導入支援を行っています。補助金を活用すれば安く抑えられるものの、どのように進めたらいいかわからない方も多いのではないでしょうか。ビルドスマートではそのような悩みを持つ事業者様向けに、補助金申請のサポートを実施しておりますので、興味がある方はお気軽にご相談ください。