学校や病院、工場、オフィスなど、多くの人が利用する施設において、空調設備のメンテナンスは欠かせません。適切に管理することで、快適な室内環境を維持し、健康被害のリスクを減らすだけでなく、機器の寿命を延ばし、運用コストの削減にもつながります。
しかし、メンテナンスを闇雲に行ってもコストがかさみ、逆に怠ると効率の低下や故障リスクが高くなるため、結果的に高額な修理費用が発生する可能性があります。そのため、空調設備のメンテナンスは適切な頻度で行うことが大切です。
本記事では、空調設備メンテナンスの重要性から、適切な頻度、コスト削減のための実践的なメンテナンス方法まで詳しく解説します。施設管理者が知っておきたい内容となっているので、ぜひ参考にしてください。
空調設備メンテナンスの必要性

空調設備は、快適な空間を維持するために欠かすことができない設備です。特にオフィスビルや学校、病院、工場などの施設では、多くの人が長時間滞在するため、適切な温度、湿度管理や空気清浄機能が求められます。
快適な空間を維持するためにはメンテナンスが必要不可欠となりますが、定期的に行わないと、フィルターや熱交換器に汚れが蓄積し、空調機の冷却効率が低下する恐れがあります。これにより、稼働時間も増え、モーターやコンプレッサーなどの負担が大きくなり、最終的には故障のリスクが大きくなります。
その他にもメンテナンスを怠ることで、コストの増加や、衛生面の問題が発生するなど、快適な環境を維持することができなくなります。
空調設備はメンテナンスを怠ることで空調設備の寿命を縮めるだけでなく、電気代の増加や健康被害といった問題が発生する恐れがあるため、トラブルを未然に防ぐためにも必ず実施すべき項目となっています。
空調メンテナンスの適切な頻度とは

空調設備のメンテナンスは必ず実施しておきたい項目となっていますが、メンテナンスの頻度が適切でないと無駄なコストが発生したり、故障リスクが高まったりする可能性もあります。
そこでこの見出しでは、空調メンテナンスの適切な頻度について解説します。一般的なメンテナンス頻度から、環境に応じた適切なスケジュールの立て方についても解説するので参考にしてください。
一般的なメンテナンス頻度
空調のメンテナンス頻度は、作業内容によっても異なります。下記の表では一般的な空調メンテナンスを行う頻度について紹介しているので、そちらを参考にしてください。
作業内容 | メンテナンス頻度の目安 |
点検や内部洗浄 | 約2〜3年に1回 |
電気機器・部品・フィルターの交換 | 約5〜13年目 |
空調設備のメンテナンスは、使用環境や機器の種類によっても異なりますが、目安としては上記の内容となっています。適切な頻度で実施することで、設備の寿命を延ばすだけではなく、運用におけるコストも削減することができます。
使用環境によるメンテナンス頻度の違い
空調設備のメンテナンス頻度は、使用環境によっても大きく異なります。環境ごとに適したメンテナンススケジュールを考慮することが、無駄なコストを減らし、設備の寿命を延ばすことにもつながるので、下記に該当する施設では、参考にしながらスケジュール計画を立ててみてください。
工場や飲食店が多く入っている施設
工場や飲食店が多く入っている施設では、空気中に油分や粉塵が多く含まれているため、一般的なビルや施設とは異なり、フィルターや熱交換器の汚れが早く蓄積しやすくなっています。特に厨房がある施設では、フィルターが油で目詰まりしやすく、空調の効率が低下しやすい傾向にあるため、通常よりも多くメンテナンスを実施する必要があります。
具体的には下記のような頻度が最適であるため、参考にしながらスケジュールを立ててください。
作業内容 | メンテナンス頻度の目安 |
フィルター清掃 | 毎月1回以上 |
内部点検・洗浄 | 3~6ヶ月に1回 |
プロによるメンテナンス | 年2回以上 |
オフィスビルや病院
オフィスや病院は、飲食店や工場ほど空気の汚れが発生しないため、標準的なメンテナンス頻度で問題ありません。しかし、病院や介護施設では、空調の清潔性が患者さんの健康に直結するため、一般的なオフィスよりもメンテナンス頻度は増やした方がいいでしょう。
具体的なメンテナンス頻度の目安は下記の表に記載しているので、そちらを参考にしてください。
作業内容 | メンテナンス頻度の目安 |
フィルター清掃 | 1~2ヶ月に1回 |
内部点検・洗浄 | 6ヶ月~1年に1回 |
プロによるメンテナンス | 年1回 |
自社の最適なメンテナンス頻度を決める方法

空調設備のメンテナンスを実施する際には、単に一般的な目安で行うのはおすすめしません。できる限り自社の使用状況に応じた適切なスケジュールを設定することが重要になります。
下記では、自社の適切なメンテナンス頻度を決める方法として、3つのポイントをまとめていますので、具体的なやり方がわからない方は、参考にしてください。
メーカーの推奨基準を確認する
空調設備にはさまざまな種類があり、企業によって導入しているメーカーも異なるでしょう。
空調設備のメーカーは、機種ごとに推奨されるメンテナンススケジュールの目安が記載されています。具体的には取扱説明書やメーカーのWebサイトにて確認が可能になっているため、適切なメンテナンス頻度を知りたい場合は、メーカーが提供しているものを参考にしてください。
メーカーの推奨基準を確認することによって、間違ったメンテナンスを実施することもなくなり、計画も立てやすくすることができます。
エネルギー消費の変化をモニタリングする
自社の最適なメンテナンス頻度を決める際、必ず実施すべき項目がエネルギー消費の変化をモニタリングすることです。
モニタリングを実施していれば、エアコンがいつもより多くのエネルギーを使っている場合、中の部品が汚れていたり、不具合が発生していたりする可能性があります。
このようにしっかりとモニタリングをしていれば、空調設備の状況に応じて適切なタイミングでメンテナンスができるので、常にモニタリングを実施することが大切です。
専門業者に相談し、カスタマイズしたスケジュールを作成する
空調設備に関して専門的な知識がない、適切なメンテナンスタイミングがわからない場合、専門業者へ依頼し、カスタマイズしたスケジュールを作成することもおすすめです。
専門業者から自社に最適なスケジュールを提案してもらうことで、コストを抑えつつ空調設備の寿命を延ばすことが可能になります。
大きな故障が発生してからでは遅いため、特にメンテナンスについて知識不足という場合は、専門業者への依頼も検討しましょう。
コスト削減のための実践的なメンテナンス方法

最後に、コスト削減のための実践的なメンテナンス方法について解説します。大きく分けると3つのポイントがありますので、参考にしてください。
日常的にできるメンテナンスでコスト削減
空調設備のメンテナンスは、大掛かりなものもあれば、誰でもできるメンテナンスもあります。日頃からちょっとしたメンテナンスを実施することで、電気代や修理費用を抑えることができるので、できる限りコストを抑えたいなら日常的に簡単なメンテナンスを実施しましょう。
具体的には、フィルターの定期清掃や周辺の整理整頓などがあげられます。フィルターの清掃は、空調設備を大きく分解しなくてもできることですし、ホコリや汚れを取り除くだけでも冷暖房の効率が良くなることがあります。
また、空調設備の周辺が物でふさがれていると空気の循環が悪くなることがあるため、周辺を整理整頓するだけでもコスト削減できる場合があります。
補助金や助成金を活用する
空調設備の更新や省エネ対策には、国や自治体、業界団体が補助金を出している場合があります。
例えば、エネルギー消費を削減するための空調設備の更新には、補助金が利用できるケースもあり、活用することで通常よりも安く抑えることが可能になります。
また、省エネ機器への交換を、補助金を活用して実施することで設備の導入にかかるコストを抑えられるだけでなく、ランニングコストも抑えることが可能になります。
このように、補助金や助成金を活用することで大幅にコストが抑えられるケースもあるので、必ず国や自治体が出している補助金の内容は確認しておくことをおすすめします。
最新技術を活用して運用コストを削減
近年、IoTやAIを活用したスマート空調管理が普及しています。これらの技術を導入することで、自動的に空調の運用を効率的に行ってくれるため、結果的にコスト削減につなげることが可能です。
例えばAIでは、過去のデータを分析し、最も効率の良い運転方法を自動で調節することが可能です。
その他にも遠隔監視システムなどを導入することで、エアコンの状態をリアルタイムでモニタリングできます。異常が発生した際にすぐに対応できるため、大きな故障になる前にメンテナンスを実施でき、修理費用を抑えられるなど幅広いメリットがあります。
このように、最新技術を活用することで結果的にコスト削減につなげられる可能性があるので、効率的に運用を進めたい方は、導入を検討してみてください。
まとめ
今回は空調設備メンテナンスの頻度とコストを抑えるための実践的な方法について解説しました。空調設備のメンテナンスは、業種や使用状況によっても異なるので、計画を立てて実施することが大切です。また、補助金や助成金を活用できる場合もありますので、できる限り安く抑えたいと考えている企業は、申請についても検討してください。
ビルドスマートは補助金を活用してビルメンテナンスに必要な設備の導入支援を実施しています。特に補助金の申請方法がわからない、安く抑える方法はないかと考えている企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。