エネルギーマネジメントシステムの導入のメリット・デメリット

  • 2025年1月30日
  • 2025年1月21日
  • コラム

現代社会において、企業などはエネルギーを効率的に利用する必要があります。なぜなら、環境に配慮したり、経営を維持するためにコストを削減したりしなければならないからです。現在、温室効果ガスによる地球温暖化をはじめとした環境問題は社会の喫緊の課題となっています。また、新型コロナウイルスの流行や天然ガスの需要拡大、円安やウクライナ情勢によってエネルギーコストが増大し、日本で暮らしているすべての人が大きな負担を抱えています。

このように、企業にとって環境保全やコスト削減の取り組みは非常に重要なため、現在ではエネルギーマネジメントシステムを導入するオフィスビルの経営者・管理者も少なくありません。オフィスビルに導入する場合、ビルエネルギーマネジメントシステムを選択することになりますが、実際に利用すれば、エネルギー使用の最適化を実現することができます。これにより、環境保全やコスト削減を目指すことができるので、導入を検討しているオフィスビルの経営者・管理者は非常に多いです。

今回は、ビルエネルギーマネジメントシステムを導入することで獲得できるメリット・デメリットを解説していきますので、興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)とは?

ビルエネルギーマネジメントシステム

ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)とは、電気やガスなどのエネルギーの使用状況を可視化して分析や自動制御などのエネルギーマネジメントを可能にするエネルギーマネジメントシステムです。エネルギーマネジメントは、EMSと呼ばれることもあります。

ビルエネルギーマネジメントシステムは、ビル・エネルギー管理システムを表し、各種センサーや監視装置、制御装置などの要素技術で構成されています。製品によっては、空調や照明などの設備機器によるエネルギー使用状況を可視化することが可能です。また、このような設備機器の稼働を自動で制御することもできます。

ビルエネルギーマネジメントシステムは、エネルギーを総合的に管理システムであり、省エネやCO2排出量の削減には欠かせないシステムです。また、エネルギーの使用状況を可視化し、分析・制御することで、コスト削減も実現することができるので、現在多くのオフィスビル経営者・管理者によって導入されています。

EMSとは?

EMSとは、エネルギーマネジメントシステムのことで、工場やビル、住宅などでエネルギーを効率化するために活用されるシステムです。建物の中にIoTやAIを導入し連携させて設備やエネルギーの使用状況をモニタリングします。また、特定の設備の稼働率を下げて、無駄なエネルギーのコストを削減することも可能です。

ちなみに、ビルエネルギーマネジメントシステムは、EMSの1種となります。EMSには、ビル管理を行うBEMS、工場のエネルギーを管理するFEMS、家庭のエネルギーを管理するHEMS、地域全体のエネルギーを管理するCEMS、マンションのエネルギー管理システムであるMEMSがあり、これらはすべてEMSに分類されます。それぞれの建物で使われるEMSがあり、これらはそれぞれの建物に特化しています。

BEMSを導入してできること

ビルエネルギーマネジメントシステムでできることは、エネルギー使用状況の可視化です。ビルエネルギーマネジメントシステムを使用することで、電気やガスなどのエネルギー使用状況や各種設備機器による稼働状況を一元管理することができます。これにより、エネルギーがいつ・どこで・どのように使用されているのかを把握することができるので、そのビルが省エネやコスト削減を達成するために何が必要なのかを明確化できます。

また、ビルエネルギーマネジメントシステムは設備機器の制御が可能です。例えば、空調や照明などのエネルギー機器や発電・蓄電設備などを自動制御することで電力使用率の削減やピークカットにつなげられます。

ビルエネルギーマネジメントシステムを導入する4つのメリット

ビルエネルギーマネジメントシステム  導入 メリット

ビルエネルギーマネジメントシステムを導入するメリットは、大まかにわけて4つあります。それぞれのメリットについて詳しく解説しますので、導入を検討しているオフィスビルの経営者・管理者は、ぜひ参考にしてみてください。

ビルの快適性の改善

ビルエネルギーマネジメントシステム導入の最大のメリットは、ビルの快適性を向上させることができるという点です。

ビルエネルギーマネジメントシステムを導入することで、空調や照明を適正化することができたり、湿度や室温を適切に維持することができたりします。これにより、オフィスビルの中で働く人たちが快適に過ごすことができるようになるため、利用者の満足度向上を期待することが可能です。

また、快適な環境の中で仕事をすることは、生産性の向上やそこで働く人たちの健康促進にもつながるため、その点もビルエネルギーマネジメントシステムのメリットであるといえます。

コスト削減

ビルエネルギーマネジメントシステムは、エネルギー機器などを自動制御することができます。また、エネルギー使用量をモニタリングして分析することがで、不要なエネルギーを削減することが可能です。これにより、結果的に電力使用率の削減することができるので、その点もビルエネルギーマネジメントシステムの大きなメリットです。

オフィスビルのエネルギーの使用量が減少すれば、オフィスビルの運用コストも減らすことができます。それを表すデータとして資源エネルギー庁は、ビルエネルギーマネジメントシステムを導入したビルは消費電力が約10%削減されると報告しており、馬力が高く消費電力の大きい業務用空調機を利用しているビルほどコスト削減を見込むことが可能です。

環境負荷の削減

環境負荷の削減もビルエネルギーマネジメントシステムを導入するメリットのひとつです。

ビルエネルギーマネジメントシステムは、エネルギーの使用状況をモニタリングし、効率的なエネルギー管理を実現することができます。これにより、そのオフィスビルから出るCO2排出量を削減することが可能です。

現在、国連に加盟するすべての国が2016年から2030年までの15年間にわたって、達成に向け取り組むべき共通目標としてSDGsがあります。企業がSDGsを達成することで、大きな経済効果や雇用を生み出すと期待されており、環境省によるとSDGsが創出する市場機会価値は年間で12兆ドルと報告しており、これは大きなビジネスチャンスにつながることを意味しています。つまり、企業にとってSDGs目標を達成することは非常に重要なことになりますが、ビルエネルギーマネジメントシステムを導入すれば、環境負荷の軽減を実現することができるので、効率的にSDGsに取り組むことができます。

エネルギー効率の向上

エネルギー効率を向上させられる点もビルエネルギーマネジメントシステムのメリットです。

ビルエネルギーマネジメントシステムを導入すれば、エネルギー使用データを分析し、PDCAサイクルの活動を通じて省エネルギー効果を促進することができます。これにより、データに基づくエネルギー管理を実現することができるため、ビルのエネルギー効率を向上させることが可能です。

ビルエネルギーマネジメントシステムのデメリット

ビルエネルギーマネジメントシステム デメリット

このように、ビルエネルギーマネジメントシステムを導入すれば、さまざまなメリットを獲得することができますが、逆にデメリットもいくつか存在しています。ここでは、具体的にどのようなデメリットがあるのか詳しく解説しますので、オフィスビルの経営者・管理者は、ぜひチェックしてみてください。

導入プロセスが複雑

ビルエネルギーマネジメントシステムを導入する際は、そのオフィスビルに設置されている設備に合わせてカスタマイズする必要があります。また、オフィスビルの構造への適合が求められるケースも珍しくありません。このような場合は、現場での調整や専門家によるサポートが必要になるため、導入プロセスが複雑になる可能性があります。

設備のカスタマイズや構造への適合が必要なオフィスビルでは、導入サポートしてくれる適切なパートナーを探すことが重要です。そうすることで、スムーズにビルエネルギーマネジメントシステムを導入できるようになるため、複雑になりがちな導入プロセスを解決することができるでしょう。

高度な専門知識が必要

ビルエネルギーマネジメントシステムの設計や運用には高度な専門知識が必要になる場合が多いです。例えば、エネルギー管理やデータ解析、システムの運用に関する知識が必要になります。そのため、オフィスビルによって専門知識のある従業員を雇用したり、スタッフを教育したりしなければならないケースも多いです。

導入にはコストがかかる

導入コストがかかるという点もビルエネルギーマネジメントシステムのデメリットです。

当然、ビルエネルギーマネジメントシステムには導入コストがかかります。しかし、導入することでエネルギーやコストを削減することができるので、そこから得られる収益性も期待することが可能です。また、現在では補助金を活用して安く導入できるケースもあるため、オフィスビルによっては負担少なく利用できる場合もあります。

まとめ

今回は、ビルエネルギーマネジメントシステムのメリットやデメリットについて詳しく解説しました。ビルエネルギーマネジメントシステムを導入することで、環境負荷やコストを削減することができるので、オフィスビルの経営者・管理者は大きなメリットを獲得することができます。一方、ビルエネルギーマネジメントシステムには導入コストがかかるため、この点がネックになっている方もいるのではないでしょうか?そのような方は、ビルドスマートを利用して導入するのがおすすめです。


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