ISO50001とは?取得のメリットは?

  • 2025年1月24日
  • 2025年1月21日
  • コラム

近年、エネルギー効率の向上や温室効果ガスの削減が企業活動において重要な課題となっています。これは大企業に限らず中小企業でも取り組みが必須となっており、実際に温室効果ガス排出量全体の中で中小企業から排出される割合は1~2割を占めており、環境省も取り組みを推奨しているのです。

このような現代社会において、エネルギーマネジメントの国際規格であるISO50001認証を多くの企業が取得しています。ISO50001は、企業が効率的かつ持続可能なエネルギーの利用を実現するための規格であり、取得することで、エネルギー管理の徹底によってエネルギー消費量やコスト削減などを目指すことが可能です。

実際に企業の中には、ISO50001認証の取得を検討されている方も多いですが、概要をしっかりとつかめていないという人やどのようなメリットを獲得できるのかわからないという方も少なくないでしょう。

そこで、今回はISO50001の概要や取得することで得られるメリットなどについて詳しく解説します。

ISO50001認証とは?

ISO50001認証

ISO50001とは、組織が持続可能なエネルギー管理システムを設計、実施、維持、改善するための要件を定めたエネルギー管理システムの国際規格です。ISO50001を取得するためには認証される必要があり、第三者機関がこの規格に基づくエネルギー管理システムの適用状況を確認した上で評価、認証します。

ISO50001が適用された企業は、エネルギーの向上や省エネの促進、CO2排出量の削減などを目指すことが可能です。

エネルギー管理の概要と重要性について

エネルギー管理とは、事業者が消費するエネルギー消費量を事前に把握し、体系的にエネルギー使用量をモニタリング及び分析することです。これにより、エネルギー使用効率の向上や環境保全、コスト削減などを実現できます。現在、エネルギー管理が重要とされる理由は、環境保護やコスト削減、非常時対応、法令遵守の4点です。

企業などがエネルギー管理に取り組むことで、省エネルギー機器等を使用するようになるため、エネルギー消費に伴うCO2排出量の削減を目指すことができます。これにより、環境への配慮が可能です。また、企業はエネルギーを効率的に使用するようになるため、当然エネルギー消費量を削減することができます。これにより、エネルギー消費にかかるコストや省エネ設備の導入・メンテナンスなどにかかる費用も削減することが可能です。

さらに、エネルギー管理を行うことで、エネルギー供給に必要な設備や施設を定期的に点検するようになるため、非常時対応に備えることができたり、エネルギー管理は全世界で法的に義務化されているため、法令を遵守できたりします。

ISO50001と省エネ法の違いについて

ISO50001と省エネ法の違いは、法令遵守義務の有無です。

ISO50001は、あくまでも企業が自主的に導入する国際規格であり、エネルギー管理システムの策定や実施等を通じてエネルギー効率の改善を目指します。一方、省エネ法は、エネルギーの使用の合理化に関する法律です。国が定めた法律であり、エネルギー消費の削減を義務化しています。もちろん、法律になるため違反した場合は罰金が課されるケースもあります。

ISO50001と省エネ法では、自主的な取り組みなのかそれとも法律で義務化されているものなのかという点で大きな違いがあります。

ISO50001とISO14001の違い

ISO50001とISO14001の違いは、エネルギー管理に重きを置いているか、環境管理に焦点を当てているかどうかです。

ISO50001は、エネルギーマネジメントシステムの国際規格です。組織がエネルギー管理に取り組むことで、消費エネルギーを減らし、コスト削減や環境保護に寄与するための枠組みを意味します。一方、ISO14001は環境マネジメントシステムの国際規格であり、事業者等が環境に関する法律や規制を守り、環境に対する影響を最小限に抑えて持続的に改善していくためのツールを提供することです。

ISO50001は、結果的に環境保全に寄与する規格ですが、あくまでもエネルギー管理に焦点を当てている枠組みであり、その点でISO14001とは大きく異なります。

ISO50001認証を受けられる機関について

ISO50001認証を取得するために、専門機関から認証を受ける必要があります。ISO50001の認証審査機関は、世界中に多数存在しています。代表的な機関としては、日本品質保証機構やBSI、TUV SUD、SGSなどが挙げられるでしょう。

ISO50001を取得する4つのメリット

ISO50001 メリット

ISO50001を取得するメリットは、大まかにわけて4つあります。それぞれのメリットについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

エネルギー効率の向上

ISO50001認証を取得することで、エネルギー管理システムの導入により組織全体でエネルギー使用状況を把握・管理することができます。これにより、エネルギーの無駄を発見して効率的な運用を実現することが可能です。また、この取り組みは結果的に企業の生産性向上や持続可能な運営を支える基盤の構築にもつながるため、長期的に企業の競争力も向上させることができるでしょう。

コストの削減

ISO50001認証を取得することで、エネルギー使用量の削減を実現することができます。これにより、ガス代や電気代などのコストを減らすことが可能です。

また、エネルギー消費に伴うコストが低下することで、収益性が向上し、リソースをほかの重要な事業活動に配分することもできます。そのため、コスト削減だけでなく、結果的に長期的な経営の安定化も実現できるでしょう。

環境保全

当然ですが、ISO50001認証を取得することで、エネルギー使用量が減ります。結果的にCO2排出量を減らすことができるため、温暖化防止など環境保全を実現することが可能です。

また、企業が環境保全に取り組むことで、地域社会や顧客からの信頼を獲得することができます。これにより、企業全体の価値を高められる可能性があるでしょう。

エネルギー関連の法的要件や規制の遵守

エネルギー管理システムを導入することで、法的な要件や規制を遵守することができます。また、世界的に電力供給や環境問題の課題に取り組む必要性がある現代社会において企業イメージの向上やブランド化させるきっかけにもなるため、その点もISO50001認証を取得するメリットであるといえます。

ISO50001を取得している業種とは?

ISO50001を多く取得している業種は、製造業や建設業、小売業、サービス業などです。現在では、世界中でエネルギー管理を企業に推奨しているため、業種に関係なく、多くの企業が取得を目指しています。

このように、業種に関係なくISO50001を取得する企業は多いですが、省エネ法とは異なりあくまでも自主的に取得するものです。しかし、エネルギー消費量がほかの事業者よりも多い大型の工場や大規模な物流センター、大型ビルの管理業者などは、取得の必要性が高まっています。その理由は、ほかの事業者に比べてエネルギーを大量に消費するため、エネルギーコストの削減や環境規制の強化が重要な課題となっているためです。

もちろん、それ以外の事業者においても持続可能な社会を実現するために、エネルギー消費の削減に取り組むことは非常に重要であり、今後もISO50001認証を取得する企業は増加していくことが予想されるでしょう。

ISO50001認証を取得するためには?

ISO50001は、どのような事業者でも取得できるというわけではなく、一定の要件をクリアする必要があります。その要件は下記の通りです。

  • エネルギーマネジメントシステムの導入
  • ポリシーの策定
  • 経営層による積極的な関与
  • エネルギー削減目標を達成するための具体的な計画立案
  • エネルギー使用状況を監視するための指標の策定及びデータ収集・分析手法の策定
  • エネルギーマネジメントシステムの計画に基づく実施
  • 従業員に対するエネルギー管理に関する意識向上の取り組み
  • エネルギー管理の目的や削減目標、監視指標の定期的な評価・見直し

ISO50001認証を取得する場合、上記のような要件をクリアする必要がありますが、企業の状況によっては要件が変化する可能性もあります。具体的な要件を自社に合わせて細かく知りたいという方は、審査機関などに問い合わせるのがおすすめです。

ISO50001認証取得の大まかな流れ

ISO50001認証を取得するまでの大まかな流れは下記の通りです。これから認証の取得を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

  1. ISO50001に準拠したエネルギーマネジメントシステムの構築と運用
  2. I内部審査を実施する
  3. Iマネジメントレビューの実施する
  4. I認証機関を選定して審査を依頼する
  5. I認証審査が実施される
  6. 審査の結果、I認証証書を取得

このような流れで取得に取り組むことで、ISO50001の認証を受けることができます。しかし、ISO50001は取得すれば、永遠に認証され続けるというわけではありません。ISO50001認証の有効期限は3年間です。そのため、継続するためには、認証機関による更新審査が必要になります。

まとめ

今回は、ISO50001の概要や取得することでどのようなメリットを獲得することができるのか解説しました。ISO50001は、体系的なエネルギー管理の仕組みに対して認定されるものであり、企業が取得すれば、コスト削減や環境負荷の軽減など中長期的なエネルギー戦略に向けて活用することができます。ISO50001は多くの企業がメリットを得られるため、製造業や建設業、小売業など業態に関わらず取得を目指すところが増えています。

ISO50001を取得するためには、認証審査機関から認証を受ける必要があります。また、認証を受けるためには、一定の要件をクリアしなければなりません。その要件の中に、ISO50001に基づいたエネルギーマネジメントシステムの導入がありますが、ISO50001認証の取得を目指したい企業の中には、エネルギーマネジメントシステムを導入していないところもあるのではないでしょうか?そのような企業は、ビルドスマートを利用して安くエネルギーマネジメントシステムを導入するのがおすすめです。


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