SIIの実施する3つの省エネ診断の違いとは?

  • 2025年1月21日
  • 2025年1月21日
  • コラム

SII(一般財団法人 環境共創イニシアチブ)が実施する省エネ診断は、企業や事業所がエネルギーの無駄を見つけ、効率的な利用を実現するための支援を目的とした取り組みです。

省エネ診断を活用することで、エネルギーコストの削減だけでなく、地球環境への配慮やCO₂排出量削減にも貢献できるなど、幅広いメリットがあります。

実際に省エネ診断を受けようか考えている企業も多いかと思いますが、具体的にSIIが実施している省エネ診断には3種類存在しており、それぞれ特徴が異なります。

本記事では、SIIが実施する3つの省エネ診断について詳しく解説します。申請を検討されている企業は、ぜひ参考にしてください。

SIIが実施する3つの省エネ診断とは?

SIIが実施する3つの省エネ診断

SIIが実施する省エネ診断には、下記の3種類があります。

  • 省エネクイック診断
  • 省エネ最適化診断(省エネルギーセンター)
  • 省エネお助け隊

省エネクイック診断省エネ最適化診断(省エネルギーセンター)省エネお助け隊

それぞれで診断の内容や費用、サポート内容が異なるので、申請をする場合には目的に応じた省エネ診断を選ぶ必要があります。

下記の見出しからは、3つの省エネ診断の内容について、一つずつ詳しく紹介するので、どれを選ぶべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

省エネクイック診断

省エネクイック診断

省エネクイック診断は、SIIが実施する省エネ診断の中でも、省エネルギーの現状を手軽かつ迅速に把握できる診断内容となっています。

この診断では、専門家が事業所のエネルギー使用状況を調査し、設備や運用の改善につながるアドバイスをしてくれます。診断結果では、現状のエネルギー使用の無駄や基本的な省エネ対策の方向性を示し、コスト削減や効率向上に役立つ情報まで教えてくれます。

省エネクイック診断は、費用負担が少なく、短期間で結果が得られるため、手軽に省エネへの第一歩を踏み出したい企業にとっておすすめの診断内容となっています。詳しい内容については下記の見出しでも紹介しているので参考にしてください。

診断対象者

省エネクイック診断は、下記の表のAまたはBのいずれかの条件に該当する法人または個人事業主が対象です。

区分(業種等)A.資本金の額または出資の総額B.常時使用する従業員の数
製造業、建設業、運輸業、その他の業種3億円以下300人以下
御売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

上記の条件を満たす事業者であれば、専門家による省エネ診断を受けて、エネルギーコスト削減や効率化のための情報を教えてもらうことができます。

上記の表に当てはまらないもしくは対象かどうかわからない方は、SIIの窓口に問い合わせをしてみてください。

診断内容

省エネクイック診断では、企業や施設で使用されるさまざまな設備に対して、運用の改善や投資による省エネ対策を実施しています。診断対象は空調設備、照明設備、ボイラ・給湯器、コンプレッサ、受変電設備、冷凍冷蔵設備、生産設備、給排水設備、工業炉など幅広い設備が対象です。

診断内容について空調設備を例にあげると、空調設備では「設定温度の見直し」や「フィルター清掃」といった運用改善のほか、「高効率空調機への更新」などの投資改善についてのアドバイスを受けられます。

省エネクイック診断では、主に運用改善による即効性の高い対策と、設備投資を伴う中長期的な改善案を組み合わせ、事業所の省エネを幅広く支援してくれる内容となっているので、特に短期間で光熱費削減を目指したいと考えている企業におすすめと言えるでしょう。

診断費用

診断には、事業者のニーズに合わせて下記2つの料金プランが存在しています。

それぞれの内容について下記のリストでまとめていますので、詳しく知りたい方は参考にしてください。

【まるっとプラン】

  • 内容:3つの設備をまとめて診断するプラン。
  • 対象設備:空調設備、照明設備、ボイラ・給湯器、コンプレッサ、受変電設備、デマンド、冷凍冷蔵設備、生産設備、給排水・排水処理、工業炉の中から選択可能。
  • 特徴:3設備を一度に診断するため、複数の設備に対して総合的な省エネ改善案を知りたい場合に最適。
  • 費用:16,500円
  • 注意点:4設備以上を診断したい場合は、登録診断機関と相談が必要。

【設備単位プラン】

  • 内容:設備ごとに診断を依頼できるプラン。
  • 1設備診断(5,500円 税込):特定の1つの設備(例:空調や照明)だけを診断。
  • 2設備診断(11,000円 税込):2つの設備を組み合わせて診断(例:空調とボイラ)。
  • 特徴:特定の設備だけに絞って詳細な改善案を知りたい場合に最適。

省エネクイック診断がおすすめの事業者

省エネクイック診断は、省エネコストを削減したい小規模な事業者がおすすめです。省エネクイック診断では、運用改善のような手軽に始められる低コストの対策も提案されるため、負担を最小限にしながらエネルギー効率を向上させたい事業者に最適です。

また、具体的な設備の省エネを検討している事業者にもおすすめです。特定の設備(例:空調、照明、ボイラなど)に絞って省エネ対策を行いたい場合、診断対象設備ごとの具体的な改善案を得られるのが省エネクイック診断です。設備単位プランなら1設備や2設備だけを診断できるため、既に対象となる設備が決まっている事業者は、省エネクイック診断がおすすめと言えるでしょう。

省エネ最適化診断

省エネ最適化診断

省エネ最適化診断は、省エネと再生可能エネルギー(再エネ)の活用を組み合わせることで、中小企業や中小規模事業者の「コスト削減」と「脱炭素化」を同時に実現するサービスです。脱炭素化が世界的な課題となる中、省エネはその第一歩ですが、最適化診断ではさらに再エネ導入の提案を加えることで、より持続可能なエネルギー利用を支援します。

主に、工場・ビル全体の包括的な診断を希望している事業者にとっておすすめの診断内容となっているので、該当する事業者で、診断を受けたいと考えているなら省エネ最適化診断を検討してください。省エネ最適化診断の詳しい内容は、下記の見出しでも紹介しているのでそちらも参考にしてください。

診断内容

省エネ最適化診断では、事業所でのエネルギー使用状況を詳しく調査し、無駄をなくすための具体的な改善案を出してくれます。診断についての具体的な内容は下記にも記載しているので参考にしてください。

  • 設備や機器の最適な使い方の提案:
    設備や機器を効率的に使う方法をアドバイス

  • メンテナンス方法の見直し:
    設備の定期的な清掃や保守点検など、正しいメンテナンス方法を導入し、エネルギーの無駄を減らす

  • 高効率機器への更新提案:
    古い設備を省エネ性能の高い新しい機器に置き換えることで、効率的な運用を目指す

  • エネルギーロスの改善:
    排熱や不要なエネルギーの無駄を見直し、再利用する方法を提案

  • 再生可能エネルギーの導入提案
    太陽光発電や再エネ設備の導入により、エネルギーの自給やCO₂削減を目指す

診断結果は、経営者やエネルギー管理担当者に対し、削減できるエネルギー量やコスト、CO₂削減効果などを分かりやすく説明してくれます。また、エネルギー管理に関する具体的なアドバイスも実施され、持続可能な省エネをサポートしてくれます。

診断費用

省エネ最適化診断の費用は、事業所の規模や対象設備の種類に応じて下記の診断メニューから選ぶことができます。

・A診断(専門家1名):10,670円

・B診断(専門家2名):16,940円

・大規模診断(専門家2名):23,760円

※最適化診断受診後、データに基づく詳細な診断を活用可能。

・IoT診断(専門家1名) : 16,940円

省エネ最適化診断がおすすめの事業者

省エネ最適化診断は、エネルギーコストを削減したい事業者のみならず、脱炭素に取り組みたい事業者にとってもおすすめの診断内容となっています。

また、工場や店舗、オフィスなどでエネルギー使用が複雑化している事業者にもおすすめと言えます。診断を受けることで、現状の無駄や課題が明確になり、効果的なエネルギー管理方法を知ることができ、大幅なコスト削減を実現することができるでしょう。

省エネお助け隊

省エネお助け隊は、地域の中小企業や事業者がエネルギーを効率的に使用し、コスト削減や環境負荷の軽減を実現するための支援サービスです。

地域密着型の省エネお助け隊が中小企業等の省エネの取り組みに対し、現状把握から改善まできめ細やかなサポートを受けられるので、該当する事業者はぜひ活用について検討してみてください。

診断内容

省エネお助け隊は、中小企業が抱える省エネに関する悩みに対応するため、6つの支援を提供しています。

省エネ施策や相談窓口の案内、エネルギー使用状況の把握、具体的な省エネ計画の立案を支援します。

また、低コストでの運用改善や設備更新に関するアドバイス、さらに省エネに必要な資金面のサポートまで対応しています。

お助け隊は、省エネの第一歩から実施までをしっかりとサポートするサービスとなっているので、初めての方でも利用しやすいのが特徴です。

診断費用

省エネお助け隊を利用する際の費用は、事業所の規模や対象設備の種類に応じて、下記の診断メニューから決定します。

・50kl診断 : 7,304円

・300kl診断 : 14,608円

・1,500kl診断 : 20,086円

・3,000kl診断 : 25,564円

・カスタム診断 : 総額の1割(3,000kl超の大規模な事業所向け。)

※診断受診後、課題やニーズに応じた伴走支援を活用可能。

・カスタム伴走支援 : 総額の1割

省エネお助け隊がおすすめの事業者

省エネお助け隊は、省エネの専門知識がなく、初めて取り組む事業者にとって最適と言えます。省エネお助け隊なら、現状把握から計画立案、実施まで専門家が細かくサポートしてくれるため、専門知識がない事業者にとっても安心して省エネ対策を実施できるでしょう。

また、補助金や資金面のアドバイスが欲しい事業者にとってもおすすめです。省エネお助け隊なら、補助金や助成金の情報提供や、申請支援を受けられるため、細かいサポートが受けられるのも大きなメリットと言えます。

まとめ

今回は、SIIが実施する省エネ診断について紹介しました。大きく分けて3つの種類があり、それぞれ内容も異なるので、自社にとって何が最適か考えながら当てはまるものを選んでみてください。


ビルドスマートでは、省エネに関するご相談はもちろん、補助金申請のサポートも行っています。特に省エネに関する補助金等の活用をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。